2022年度通常総会を開催
2022年度通常総会を開催
佐川亜紀理事長
日本現代詩人会の2022年度通常総会が8月27日(土)、アルカディア市ヶ谷で午後1時30分から開催された。総会司会が鈴木正樹理事と長田典子理事。議事に先立ち第70回H氏賞受賞者の高塚謙太郎氏が「詩についてのメモ」というテーマで講演した。
講演終了後、高塚氏に日本現代詩人会から花束贈呈が行われ、2時過ぎより議事が始まった。開会の辞は佐川亜紀理事長で、ご来会の皆様への謝辞とともに、新型コロナ感染状況により懇親会を急遽中止にしたことへの報告とチェコ共和国EU理事会議長国記念事業の「街角詩人ロボット」の紹介がされた。次に八木幹夫会長が挨拶を行い、高塚氏の講演内容を受け、新しい力は同時代からは反発を受けやすいが西脇順三郎も同様だった。若く新しい力によって詩が覆される力が必要な時代だと述べた。その後、議長団として沢村俊輔氏と原かずみ氏が選出された。
次に佐川理事長が会員数1032名、出席者45名、委任状457名、合計502名となることを報告し、沢村議長が出席者数と有効委任状数の合計が会員数の3分の1を超えたので、会則28条により総会が成立することを承認した。佐川理事長によって前年度総会以降、今年6月30日迄に逝去された会員28名の名前が読み上げられ、八木会長の「黙祷」の発声により黙祷が捧げられた。
報告、提案、議論――総会の討議内容
Ⅰ 総会承認事項(各担当理事報告)
議事の承認報告、議案などは総会資料を元に各担当理事からの報告で進められ、すべて承認された。その概要は次の通り。
1 会務一般について(佐川理事長)
2022年度の理事会は主に早稲田奉仕園セミナーハウスで開催した。理事会はインターネットで行われた第6回理事会、第7回理事会を含め11回開催した。第2回理事会は新メンバーによる理事会となり互選により八木幹夫会長他、各担当理事を決定。理事会議事録は長田典子理事が毎回作成。毎回各理事の出席率も高く重要事項の決定も順調に進んだ。会計担当の井上敬二理事が病気により理事業務継続困難になり2月5日の臨時理事会をもって退任承認、根本明理事が会計担当も兼務することを承認。会員名簿の発行は佐川亜紀理事長と長田典子理事が担当し12月1日現在の在籍者により発行した。広告は15社。収入は35万円の協力があった。詩集賞の詳しい選考経過は現代詩人会発行の冊子『現代詩2022』で発表した。
2 先達詩人の顕彰 (佐川理事長)
甲田四郎氏と谷川俊太郎氏を5月29日の「日本の詩祭2022」において顕彰し顕彰状と記念品及びお祝い金を贈呈した。
3 会報の発行(鈴木理事)
164号(2021・10・25発行)新理事会の構成メンバーと役割決定。八木幹夫会長、佐川亜紀理事長、田村雅之副理事長挨拶。2021年度通常総会(書面形式)の討議内容。2021年度の事業計画。各地の声「香川詩人協会25年の歩み」(赤石旅夫氏)他。
165号(2022・1・25発行)八木幹夫会長新年の挨拶、先達詩人甲田四郎氏、谷川俊太郎氏の挨拶・略歴。現代詩の記憶「最後の五分間」(新藤凉子氏)、2021年度総会(書面)における質問・要望・意見への回答。各地の声「鳥取県現代詩人協会の現況」(手皮小四郎氏)、各地のイベント「国民文化祭・文芸祭みやざき2020 さきがけプログラム 現代詩の祭典を終えて」(谷元益男氏)「岩手詩祭2021」(照井良平氏)「第42回ちば秋の詩祭」(加藤廣行氏)「第36回国民文化祭わかやま2021いわで現代詩の祭典」(武西良和氏)「群馬詩人クラブ第34回秋の詩祭」(石井一比庫氏)「青森詩祭2021」(藤田晴央氏)他。
166号(2022・4・25発行)第72回H氏賞・うるし山千尋氏『ライトゲージ』、第40回現代詩人賞・倉橋健一氏『無限抱擁』。受賞者の略歴・受賞の言葉と選考経過報告。「詩は未知の世界の構築であり、そのことばはすべて隠喩でできている」(野沢啓氏)各地の声「わかやま詩の会」(中尾彰秀氏)イベント「いばらき詩祭2021in結城」(生駒正朗氏)「兵庫県現代詩協会第11回ポエム&アートコレクション展」(山本真弓氏)「日本の詩祭」予告他。
167号(2022・7・25発行)「日本の詩祭」開催の記録。2022年第6回HP現代詩投稿欄「新人賞」浅浦藻氏、「新人」佐和田纓氏、シーレ布施氏、岡暁氏(逝去)の発表と受賞の言葉。選考委員長上手宰氏による選考過程の報告。各地のイベント「埼玉詩人会2022埼玉詩人祭」(会長川中子義勝氏)「横浜詩人会詩集2021を読む」(三浦志郎氏)。現代詩の継承「若い世代と手をたずさえて~青森の場合 藤田晴央「国民文化祭美ら島おきなわ文化祭2022詩の祭典」の予告他。
4 H氏賞・現代詩人賞の決定
(宮崎理事)
第72回H氏賞選考委員は古屋久昭(選考委員長)、石下典子、伊武トーマ、清岳こう、草野早苗、土屋智宏、冨岡悦子各氏、第40回現代詩人賞の選考委員は秋山公哉(選考委員長)、新井高子、伊藤芳博、小林稔、鈴木ユリイカ、高良勉、中島悦子各氏、投票管理委員は広瀬弓、草間小鳥子各氏にお願いした。第72回H氏賞はうるし山千尋氏『ライトゲージ』、第40回現代詩人賞は倉橋健一氏『無限抱擁』が選ばれた。会員投票及び選考委員推薦による候補詩集については冊子『現代詩2021』、会報166号、ホームページに掲載。
5 『現代詩2022』(小冊子)の発行
(岡島理事)
田村雅之副理事長と岡島弘子理事が担当した。第72回H氏賞関連として、受賞者略歴、受賞の言葉、選考経過、選考評、受賞詩人について、作品抄を掲載。第40回詩人会賞関連として、受賞者略歴、受賞の言葉、選考経過、選考評、受賞詩人について、作品抄を掲載。先達詩人の顕彰関連としては、先達詩人の略歴、作品、詩人紹介を掲載。H氏賞、現代詩人賞関連資料を掲載。
6 「日本の詩祭2022」の開催
(田村副理事長)
2022年5月29日(日)午後1時より、東京・市ケ谷、私学会館アルカディアで開催された。司会は田村副理事長、斎藤菜穂子氏。第一部は八木会長の挨拶、佐川理事長の開会の言葉の後、第72回H氏賞の贈呈式となった。選考委員長の古屋久昭氏の選考経過報告の後、うるし山千尋氏に八木会長よりH氏賞が贈呈された。岡田哲也氏の受賞詩集『ライトゲージ』と受賞者紹介の後、うるし山氏が言葉を述べた。
続いて第36回現代詩人賞の贈呈式では、選考委員長の秋山公哉氏による経過報告の後、八木会長より倉橋健一氏に現代詩人賞が贈呈された。選考委員長の秋山公哉氏による経過報告の後、たかとう匡子氏が受賞詩集『無限抱擁』と受賞者について紹介した。その後、倉橋氏により受賞の言葉が述べられた。続いてうるし山・倉橋両名による自作詩朗読。
先達詩人甲田四郎・谷川俊太郎両氏の顕彰。顕彰者・甲田四郎氏の挨拶。続いてズームにより谷川俊太郎氏が挨拶した。
第Ⅱ部は谷川俊太郎氏を囲んで秋亜綺羅理事の司会により、谷内修三氏、杉本真維子氏らによる座談会が行われた。次に引田香織氏のピアノ弾き語り「中原中也と茨木のり子」の後、一般財団法人日本詩人クラブ会長北岡淳子氏の挨拶。最後に実行委員長・田村雅之副理事の閉会の言葉で締めくくられた。会員104名。来賓15名、報道2名、一般53名、総計174名の参加があった。公益信託平澤貞二郎記念基金の協栄産業・平澤照雄氏も臨席された。新型コロナウィルスの影響で中止されていた詩祭が三年ぶりに開催されたことは嬉しく皆様に感謝申し上げたい。
7 現代詩ゼミナールと新年会
(根本理事)
2022年1月18日(土)午後2時からアルカディア市ヶ谷で開催すべく、講師の野沢啓氏、朗読者は須永紀子、日原正彦、松井ひろか、森雪拾、椿美砂子各氏、司会の秋山公哉、杉本真維子両氏、協力会員の鹿又夏実、沢村俊輔、ハラキン、服部剛各氏に依頼し、講演概要、朗読詩をまとめた冊子を制作した。残念ながら新型コロナ感染拡大のため中止となった。予定されていた野沢啓氏の講演「詩は未知の世界の構築であり、そのことばはすべて隠喩である」は会報166号に掲載された。
8 国民文化祭2021・わかやま
(佐川理事長)
第36回国民文化祭・わかやま2021〈いわで「現代詩の祭典」~はばたけ言葉、青あおと~〉が2021年11月13日(土)午後一時より、一条閣(旧若山県議事堂)で開催された。主催は文化庁・厚生労働省・和歌山県・和歌山県教育委員会・岩出市・岩出教育委員会・第36回国民文化祭、第21回全国障がい者芸術・文化祭和歌山県実行委員会・紀の国わかやま文化祭2021岩出市実行委員会・日本現代詩人会・一般財団法人日本詩人クラブ・わかやま市の会。岩出市在住の武西良和氏、中尾彰秀氏が中心になって準備。小・中高・一般の三部門で現代詩人会会長賞など、18人の受賞者を表彰。合計1433編の応募があった。選考委員長は細見和之氏、当会からは北原千代、橋爪さちこ両氏が担当。他に選者は、秋野かよ子、江口節、大場百合子、岡崎葉、金川宏、神田さよ、くりすたきじ、桑原広弥、武西良和、中尾彰秀、波野仁、松村信人の各氏。村瀬漢夫氏、河津聖恵氏の記念講演も行われ、朗読や講演では手話や音声画面表示もされた。
9 国際交流
(杉本理事の代理で田村副理事長)
今年度はコロナ禍により国際交流のイベント開催は見送らざるを得なかった。来年度は台湾の詩人をお迎えして開催したいが、感染状況により渡航や開催が難しい場合はズームによるご出演、または新たな形での国際交流を図りたい。
10 入会審査
(中井理事)
中井ひさ子入会担当理事の他に岡島弘子理事、北畑光男理事、鈴木正樹理事、長田典子理事の計5名の入会審査委員が当たり、36名の入会を決定、理事会の承認を得た。今期の審査は、計6回開催した。推薦理事には根本明理事にお願いし推薦理事の心当たりのない入会希望者の入会条件を整えることができ、ご協力に感謝したい。日本現代詩人会に相応しい方々が独自性のある作品で入会してくれた。これも会員、理事各位のご紹介ご尽力のお陰だと感謝している。
11 各地活動への後援賛助
(佐川理事長)
2021年9月から2022年6月まで次の9県の後援賛助を行った。
岩手県詩人クラブ、千葉県詩人クラブ、群馬詩人クラブ、青森県詩人連盟、茨城県詩人協会、兵庫県現代詩協会、石川詩人会、埼玉詩人会、横浜詩人会。
12 ホームページの運営
(秋理事)
2015年12月25日にリニューアルオープンし、順調に訪問者、閲覧数が増加している。これまでに作成されたページは英語版を含め140ページ以上。イベント告知、H氏賞・現代詩人賞の候補詩集公開と受賞決定の速報。会報と共有した情報公開。会員外の新鋭詩人発掘をめざす投稿欄の作品受付、入選・佳作選評公表。英語版は石田瑞穂氏が担当。新たに検索機能を設置。新しいタイトルデザインを会員である岩佐なを氏に依頼。投稿欄には、海外からの投稿もあり国内でもインターネット上の若い詩人たちを中心に浸透してきているようだ。フェイスブック、ツイッターでも随時更新を行った。詩投稿欄では第21期~第25期まで選者は上手宰、片岡直子、福田拓也各氏。第24期~第27期までの選者は草間小鳥子、塚本敏雄、山田隆昭各氏。2022年第6回日本現代詩人会投稿欄「新人賞」と「新人」は3月19日(土)のズーム会議により決定した。各期ごとに入選・佳作それぞれ5名程度。
13 子どもへの詩の普及活動
(長田理事)
2021年度から新たに立ち上げた。具体的には子どもを対象とした詩の普及活動の実践例をホームページに紹介したり全国の子どもを対象にした詩の募集要項や結果などを、リンクを貼って紹介したりする。
14 創立70周年記念事業―地域記念イベントについて
(新延理事)
日本現代詩人会は1950年に北川冬彦、安西冬衛、村野四郎など43名で発足した歴史があり、2020年1月21日に創立70周年を迎えた。今までの活動を見直し今後の発展を模索するために記念アンソロジー刊行とともに地域記念イベントの開催が決定された。全国を6地域に分け、各地の詩人の活動や詩の活性化に加え次代に伝えてゆくべき若い人たちへのアピールをはかることを意図した。2020年初頭からなるコロナ禍により参加者の皆様の健康・安全面を最優先に考えた結果、2019年の三国でのプレ・イベント以外は全て中止となった。各地で大変なご努力で様々な計画を立て準備をしていただき満を持してのイベントであっただけに残念だ。関係者の皆様に対して大変申し訳ない気持ちでいっぱいである。今後、理事会の議論を経て75周年あるいは80周年という節目をとらえ、再度、新たなイベントにチャレンジしていきたい。70周年とは別に東日本ゼミナールを来年開催できるよう準備中。
Ⅱ 会計報告
1 2021年度収支決算報告
(根本理事)
根本理事より2021年度収支決算の報告が項目ごとになされた。
2 会計監査報告
会計監査の根本正午監事、斎藤菜穂子監事が会計が正当に執行されたことを確認した旨報告された。
Ⅲ 議案
1 2022年度収支予算案
根本理事より2022年度収入支出予算案が項目ごとに提案された。
2 2022年度事業計画(案)
佐川理事長より提案された。
Ⅳ 報告事項
1 国民文化祭の予定(佐川理事長)
2022年・第37回国民文化祭は、沖縄県宮古島で「美ら海おきなわ文化祭2022 詩(ことば)の祭典~言霊 海を越えて」として10月29日(土)JTAドーム宮古島で開催予定。第38回は石川県、第39回は岐阜県と続く。
2 年会費納入状況
(中田理事)
会員の皆様のご協力により、昨年度同様、年会費の予算目標に近づく納入状況。滞納者には「年会費ご納入のお願い」を送っている。振り込みの際は住所・氏名を楷書で明確に書いていただきたい。
3 慶弔関係
(北畑理事)
会則第10条により会員が亡くなられたときは弔慰文、弔慰金を贈ることになっている。近年は単身者や施設で生活する会員も増えており連絡がなくお悔やみが遅れてしまうことがある。情報を担当理事または理事長にお願いします。
4 会員の入退会及び在籍数
(長田理事)
入会36名、退会28名、物故会員23名、名誉会員を含む総数1032名。昨年同期比15名減。
(記録・長田典子)
総会出席者(50音順・敬称略)
青木由弥子、秋亜綺羅、阿部敏夫、石川厚志、大塚常樹、岡島弘子、岡本勝人、長田典子、尾世川正明、川中子義勝、北畑光男、小林登茂子、斎藤菜穂子、佐川亜紀、沢村俊輔、鈴木正樹、曽我貢誠、高塚謙太郎、田村雅之、塚本敏雄、椿美砂子、寺田美由記、戸台耕二、中井ひさ子、中田紀子、新延拳、西畠良平、根本明、根本正午、野木ともみ、春木節子、春木文子、原かずみ、原詩夏至、原田道子、林新次、三ヶ島千枝、峯澤典子、宮崎亨、宮田直哉、八木幹夫、山田隆昭、雪柳あうこ、渡辺めぐみ、渡ひろこ
総会出席者 45名
委任状 457名(初め出席で委任に変更した人も含める)
合計502名 (寺田美由記)