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詩祭, 詩集賞の紹介

日本の詩祭2024開催

日本の詩祭2024開催

6月2日・アルカディア市ヶ谷
 H氏賞 現代詩人賞贈呈・先達詩人顕彰

 去る六月二日(日)、アルカディア市ヶ谷にて、日本の詩祭2024が13時より17時まで三階「富士西」の間で厳粛且つ盛大に開催された。
 司会は福田恒昭、野木京子両氏。塚本敏雄理事長の開会の言葉で式典が開始された。

郷原宏会長

塚本敏雄理事長

松尾真由美実行委員長

司会の福田恒昭氏 野木京子氏



第Ⅰ部(贈呈式・先達詩人の顕彰)

一.第七四回H氏賞贈呈式
 選考委員長上手宰氏より、選考経過の報告が為された。
 候補詩集は一次選考で一三冊、二次選考で六冊に絞り、最後二冊に絞った上で審議を尽くし、多数決で尾久守侑(おぎゅうかみゆ)詩集『Uncovered Therapy』に決定した旨報告され、郷原宏会長より尾久守侑氏へ賞状と記念品目録が授与された。
 受賞詩集については、森本孝徳氏が左記(要旨)のように述べた。
 「尾久の言葉は演技で僕は尾久の言葉を真っすぐに受け止められない。発話者が演技をしている。受け手はそれをまっすぐに受けとらない。どこになく発せられた言葉を勘繰り、ねじまげてしまう。表面に現れるこの印象がライトなだけに意識されないが、これは傷つく覚悟の詩には書けないし、読めない関係性なのではないでしょうか。泥沼のようなゆがんだ関係性ですが沼であることは疑いようのない尾久は詩人です。」と述べた。

H氏賞選考委員長 上手宰氏

森本孝徳氏


 次に尾久守侑氏が受賞の言葉を左記(要旨)のように述べた。
「精神科医をしております。このような素晴らしい歴史のある賞をありがとうございます。詩を書き始めたのは高校生の頃で町田康さんの詩集が面白く、大学へ進学後、投稿を四年半程していました。詩集『Uncovered Therapy』は四冊目で、このタイトルは精神分析の文献に「Uncovered Therapy」と言う言葉があり、私の書くものと響きあうものを感じたのでタイトルに使いました。私は精神科医と詩は別ものとずっと思ってきましたが、悩みを掘り下げたら遠い所へ行ってしまったみたいな経験が、精神科医として近接したものを感じ、それを保存しておきたいところが、この詩集なのかなと思っています。」

H氏賞受賞者 尾久守侑氏


二.第四二回現代詩人賞贈呈式
 選考委員長の田村雅之氏より選考経過の報告が為された。
 候補詩集は一次選考で一二冊、二次選考で全国区の詩集賞を受賞している三冊は、選考対象から除外した。残りの九冊について各委員推薦の詩集を三冊、記名投票を行って二冊に絞り、決戦投票により粕谷栄市氏の『楽園』に決定した旨報告され、郷原宏会長より粕谷栄一氏へ賞状と記念品目録が授与された。
 受賞詩集については、池井昌樹氏が左記(要旨)のように述べた。
 「粕谷さんにお目にかかったのは、私が19歳、粕谷さん38歳で、五〇年経ちました。粕谷さんの詩は 不穏な詩が多いのですが、どこかこの世の闇に一点の火を灯すというか、ご覧 世界は美しいという懐かしい誰かの囁きが どの作品からも響いてくる。
 半世紀 同じ空の下にいながら、そのことに気づいたのは楽園という、いばらの冠を表題に配した詩集を読み終えたときです。
 夢が私を見ている。そう気づいた時、私は震えるような喜びと恐れを感じました。そう感じたのは、私一人では決してない。夢が君を見ている。詩は恐ろしいですね。粕谷さん、ありがとうございます。」と述べた。

現代詩人賞選考委員長 田村雅之氏

池井昌樹氏


 次に粕谷栄市氏が受賞の言葉を左記(要旨)のように述べた。
 「思いがけなく受賞に驚いている。
 もうすぐ90歳ですが、若い頃から人間が死ぬことばかり書いてきて、いざ自分がその年令に達してみると何も分かってないなと思っています。でも詩を書くことは楽しいですから、これからもいい詩を書いていきたい。」

現代詩人賞受賞者 粕谷栄市氏


三.先達詩人の顕彰
 今年度、先達詩人の顕彰となったのは、倉橋健一氏、支倉隆子氏、藤井貞和氏の三名。郷原会長から敬意の言葉と顕彰状、記念品目録が贈呈された。
同三名が以下のとおり挨拶された。

(一)倉橋健一氏の言葉
 「二十歳頃、詩壇が過激だった時代に詩を書き始め、いつの間にか90歳になってしまいましたが、なってみると年取った感ないですよ。」

倉橋健一氏


(二)支倉隆子氏の言葉
      (代理人・福田知子氏)
 「私達は詩劇等の上演で全国を巡っており、支倉さんは、現在プロデューサーを担っています。支倉さんの詩を読ませていただきます。」と一篇の詩を朗読された。

支倉隆子氏


(三)藤井貞和氏の言葉
 「本日、一緒に顕彰受ける倉橋さんはよく知る仲で、京都や伊豆へ行ったりしたことが思い出されます。」

藤井貞和氏


第Ⅱ部 講演「人の声と震災と」 森 まゆみ
 コンサート「八木重吉の唄を中心に」 YO―EN

 講演の講師は森まゆみ氏。『鷗外の坂』で芸術選奨文部大臣新人賞、『「即興詩人」のイタリア』でJTB紀行文学大賞等著書多数、関東大震災の持つ意味を平易に講演された。(要旨は別頁)
コンサートは、YO―EN氏が八木重吉を語り、重吉の世界からYO―ENの世界へと会場を誘いました。

講演する森まゆみ氏

YO-EN氏

 【懇親会】
 17時30分から、詩祭会場の隣「富士東」の間で開催。司会は沢村俊輔、松井ひろかの両名。郷原宏会長の開会の言葉で始まると、秋亜綺羅理事の進行でホームページ投稿詩の新人賞表彰式が行われた。本日出席の末野葉、nostalghia、たいちの三名に表彰状、記念品の授与がされた。
 次に先達詩人の顕彰を受けた支倉氏のお祝いで駆けつけた知人(福田知子、木内ゆか、渡会やよひ、金井裕美子)四名による演舞が場に華を添え、いよいよ、懇親会の開催となった。
 まずは、御来賓の平澤照雄様(平澤貞二郎記念基金)、太田雅孝様(日本詩人クラブ会長)のお言葉を頂いた後、八木幹夫前会長の乾杯で懇親会の幕を開けた。宴のなかでは次の方々がスピーチをされた。歌人の林あまり、小林政継(八木重吉を愛する会)、池田瑛子(射水市)、一色真理(八幡市)、神田さよ(宝塚市)、鈴木良一(新潟市)、瀬崎祐(倉敷市)、為平澪(八幡市)、椿美砂子(五泉市)、根本正午、渡会やよい(札幌市)(敬称略)
 宴の終盤は新入会員3名が壇上にあがり、改めて入会に際しての挨拶をした後、入会審査担当の広瀬大志理事が、若い力の重要性を話された。
 最後は杉本真維子副理事長の閉会の挨拶。出席者百二十人強で盛況の中、閉会した。(文責・沢村俊輔)

◆日本の詩祭出席者(敬称略)
【来賓】
尾久守侑・森本孝徳・粕谷栄市・粕谷千晶・池井昌樹・倉橋健一・支倉隆子・藤井貞和・川瀬隆之・福田知子・平澤照雄・豊幸枝・太田雅孝・宗近真一郎・井川博年・一色真理・末野葉・nostalghia・たいち・小俣恭子・森まゆみ・神林由貴子・小林正継・高橋啓介・岩田好伯・出本喬巳・高木真史・西川寛子・朴慶南・林あまり・紫野京子・YO-EN・十松弘樹(三十三名)
【会員】
相原京子・秋山公哉・麻生直子・新井啓子・池田瑛子・石川厚志・磯崎寛也・岩佐聡・植木信子・上手宰・魚家明子・大掛史子・大久保栄里紗・岡野絵里子・岡本勝人・小山田弘子・柏木勇一・金井雄二・川崎芳枝・川中子義勝・神田さよ・柊月めぐみ・熊沢賀代子・黒岩隆・小松宏佳・斎藤菜穂子・酒井力・佐川亜紀・佐藤洋子・沢聖子・清水博司・白井知子・鈴木良一・鈴木東海子・関口隆雄・関中子・瀬崎祐・清岳こう・曽我貢誠・田井淑江・高山利三郎・高貝弘也・高島清子・たかとう匡子・高橋達也・高橋嬉文・滝川ユリア・竹内美智代・田中眞由美・田中裕子・田村雅之・為平澪・廿楽順治・椿美砂子・寺田美由記・中井ひさ子・中田紀子・中塚鞠子・中本道代・南雲和代・夏目ゆき・西野りーあ・根橋麻利・根本明・野木京子・野沢啓・長谷川忍・服部剛・浜江順子・原詩夏至・原島里枝・原田道子・春木文子・広瀬弓・福島純子・福田恒昭・房内はるみ・藤井優子・藤本敦子・外村京子・星善博・堀雅子・松井ひろか・松浦成友・松沢桃・三ヶ島千枝・三井喬子・光冨幾耶・宮崎亨・宮地智子・宮田直哉・八木幹夫・梁川梨里・山本聖子・結城文・柳春玉・若尾儀武・和田まさ子・渡会やよひ・渡ひろこ(百十五名)
【一般】
阿部草薫・飯ヶ浜真知子・池堂翔久・井本節山・大出恒夫・帷子耀・加藤亜由子・金井裕美子・木内ゆか・香坂平智・近藤真理子・佐波ルイ・柴野京子・生野毅・高波忠斗・髙野堯・高橋順子・田辺なつき・陶原葵・中川越・にしもとめぐみ・橋本和子・林あまり・深町秋乃・降旗りの・細田傳造・松川なおみ・真中康成・みとま潤・八木まどか・渡辺一郎・渡邊那智子(三十二名)

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