各地の声・長野県詩人協会「先輩の詩魂を受け継ぎ」
各地の声
長野県詩人協会
先輩の詩魂を受け継ぎ
長野県詩人協会会長 内 川 美 徳
長野県詩人協会は1958(昭33)年11月に会員130名、当日参加者47名が参加し創立大会が開催された。本年で62年になる。この日を迎えるまでには先輩たちの苦労が積み重ねられていた。24(大13)年第一次信州詩人連盟、昭和の初期に第二次信州詩人連盟、第三次で漸く詩誌『伵』が発行された。詩展も計画されたが、当時の政治的状況の中で検挙されることが繰り返された。信州の詩人は表現の自由を主張して、強固なつながりを求めて活動をしていた。
45(昭20)年8月15日の敗戦を経て一気に中信詩人協会が(以下敬称略)高橋玄一郎、殿内芳樹等を中心に発足。北信詩人協会が武井つたひ、鈴木初江等で発足。同人詩誌も満を持して創刊された。『新詩人』小出フミ子、『詩人座』高橋玄一郎、大島博光、『高原詩人』殿内芳樹、他30余誌になる。詩集も刊行された。特に殿内芳樹の詩集『断層』は51(昭26)年、第1回H氏賞受賞となり、県内の青年詩人たちに強い影響を与えた。殿内は北川冬彦提唱のネオ・リアリズムの詩論の確立に力を注いだ。発表は詩誌『時間』『時間詩集』『蛇行流』等に精力的に執筆した。
63(昭38)年にかおすの会刊(詩誌かおす主宰山口さつき)『信州詩壇回顧』同会刊20(大9)年から59(昭34)年頃まで。『長野県現代詩史』(柳沢さつき)刊は55(昭30)年から89(平元)年までが纏められている。この2冊の特徴は、県内各地域とグループ、同人誌ごとに座談会が持たれているから、それぞれの詩人の活動が手に取る様に編集されている。
県詩人協会は創立60年記念事業として詩人祭に「パネル・ディスカッション」を計画した。テーマ「現代詩の難解性とは」、パネリストに北岡淳子、北川道雄、和田攻と酒井力(司会)。進行を進めながら参加者からの発言もあり、会終了後までも余韻の残る会となった。講演も川上明日夫、田中眞由美、宮崎亨を招いた。
難題であった会員の減少による会運営の停滞が懸念された。4地域から成る基礎組織を2組織にはしたが、会費収入の減額で、2年連続の値上げは必至である。抜本的な方策が緊急課題である。
県内で発行されている同人誌は、樹氷178号、かおす151号、しある62号、すいかずら15号、狼煙89号、長野詩人24号、すうべにいる10号がある。
文芸誌『火映』、『稜線』は、作家に門戸を解放し、新人発掘に力を注いでいる。(いずれも会員が編集発行)
協力関係にある他団体
長野市文化芸術祭の詩部門、上田市短詩型文学祭、松本市芸術文化祭、更埴地区短詩型文学祭、東御市短詩型文学祭、佐久市短詩型文学祭、「北アルプス雪形まつり」『しある』が詩部門に詩展として参加。
「夏の無言館」(子どもたちの豊かな心を育む)「樹氷」の会主催。の諸活動は定着している。
参考資料
『信州詩壇回顧』かおすの会刊
『長野県現代詩史』かおすの会刊