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各地の声―ふくい詩の風の源流から

各地の声
ふくい詩の風の源流から 福井県詩人懇話会 副代表 千葉晃弘

 福井県の詩の源流を辿ると、戦前に早逝した舘高重(明治37~昭和6)や内田忠(明治38~昭和19)がいた。戦前に佐藤惣之助の流れをくむ馬来田静秋や横山貞治が活躍し、戦後の福井の文化活動の復興に力を注いだ。馬来田静秋は晩年、タウン誌『フェニックス』に「緑蔭荘歴程」として、同時代の詩人の動向を細かく回顧した。
 中野重治の妹の中野鈴子は、戦後、社会主義リアリズムに基づく「ゆきのした」を創刊し、若者(稲木信夫ら)に影響を与えた。
 三好達治に私淑する則武三雄は、師の誘いで昭和21年、朝鮮半島から帰国し、福井県三国への定住を決意する。「文学兄弟」などを発行して、後年の「木立ち」の詩人となる広部英一、岡崎純、南信雄、川上明日夫が育つことになる。
 一方、鯖江の横山貞治の後輩になる杉本直は、北川冬彦主宰の「時間」の創刊同人となり、詩誌「土星」を持して戦後の福井詩界に登場し、初めて三国に則武三雄を訪ねている。
 則武と杉本には、福井詩界の大同団結の願いがあった。「福井詩の会」を結成し、1977年、1979年『福井詩集』を発刊し、終焉となった。
 その後、1985年4月に、福井県内の詩誌「木立ち」「果実」「青魚」「角」後の「水脈」の世話人が協議して、各詩誌、詩人の個性を縛らない形での新会「福井県詩人懇話会」の設立を承認した。当初会員は62名であった。
 発足の年には、『詩集ふくい85』を創刊し、毎年途切れることなく、今年で36集目となる。
 1987年4月、日本現代詩人会・詩祭実行委員会主催「北陸の詩祭」(金沢)に協力している。1988年2月には、「87ふくい詩祭」に小海永二氏を招いて開催し、現在まで年刊『詩集ふくい』の出版記念の集いとして詩祭が継続されてきた。
 1988年「第1回会員の詩集を語る会」を開催して、今年2月の「第41回の詩書を祝う会(改名)」まで、トータル131冊の詩書を取り上げてきた。
 1993年から2004年までは、清水町立図書館長であった広部英一の監修「清水町ふるさと詩劇場」に当会も出場協力をした。県外からは、長谷川龍生、三井葉子、大野新、以倉紘平、池田瑛子、砂川公子、千葉龍、宮本善一などが来訪された。
 1997年からは、詩祭にテーマが付されて「97詩と俳句のつどい」「98ふくい詩と俳句のつどい―詩・俳句の生まれるとき」「99ふくい詩と俳句のつどい―21世紀の詩と俳句」「00女性の詩のいま」と続いた。
 「01ふくい詩祭」からは、「福井の詩人則武三雄、杉本直、南信雄」を皮切りに「福井の詩人の詩業から」がスタートした。02年は、藤原定、山本和夫。03年横山貞治、竹部勝之進。06年、中野鈴子、内田忠。07年は舘高重、刀禰勇治。08年、馬来田清秋、城越健次郎。09年、中野重治、高見順。10年は、濱口国雄、山本新太郎。11年、長谷川正男、高橋輝雄。12年、畠中哲夫、阪本越郎。14年、岡島繁、横山和正。16年、広部英一。18年、鮎川信夫。計25名を取り上げて来た。このシンポジウムの内容は、翌年の「詩集ふくい」に全記録が掲載された。
 2011年から会員が県内の小中学校を訪問して、「子ども詩の教室」を行い、応募された詩を含めて、新聞紙上に「花まるポエム」として掲載され今に至る。2014年に『ふくい子どもの詩集』にまとめた。
 ほかに、2010年から2015年まで、20回にわたり行われた『詩のよもやま話』を一冊にした。会員がそれぞれに関心のある部分〈例=杉山平一先生と三国)を発表し、質疑がなされたものであった。
 また、会報100号記念出版として、毎号に掲載してきた、会員68名の『詩との出会い』も一冊に纏めた。
 福井新聞紙上に毎月「ふくい詩の風」として交代で詩一編を掲載。詩に出会い、詩に支えられた模様を知ることは何かにつけ参考になる。

『詩集ふくい85』『詩との出会い』
『ふくいの子ども詩集』『詩のよもやま話』
会報100号記念

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