研究活動・親睦

各地の声・各地のイベント

各地の声―千葉県詩人クラブ

各地の声
千葉県詩人クラブ
コロナ禍の中での活動模索
理事長 大掛史子

千葉県詩集配布・朗読会



 千葉県詩人クラブの最も重要かつ華やかな行事は千葉県との共催で行なってきた「ちば秋の詩祭」 である〈県民芸術祭・文化でつなぐ千葉のちから〉と銘打って、招待講師による講演を軸に、スピーチ朗読、朗読劇、会場の一角での詩書画展、県内発行詩誌、文芸誌の展示、そして詩祭当日発行の『千葉県詩集』配布と多彩である。
 コロナ騒ぎの始まる2カ月前、2019年11月に開催された「第41回ちば秋の詩祭」は、細野豊氏を講師に招き、「理解し合えない隣人メキシコと米国『宇宙的民族』の国メキシコの詩人たち」という演題でオクタビオ・パスとアンバル・パストについて語っていただき、各詩人の作品、スペイン語の原詩と講師の訳詩両方を声量豊かに熱唱、満場を酔わせた。その細野氏は2020年12月急逝、現代詩人会の新年会で「千葉で話せて楽しかった。会場の雰囲気がよかった」と感謝されたのが忘れがたい。ご冥福をお祈りするばかりである。君津市の末原正彦会員の脚本による朗読劇『宮沢賢治の一生』が続き、山中真知子理事演出、役の名札を首から下げた9人の〝役者〟が熱演、岩手から駆けつけた森三紗氏(賢治の親友森佐一の息女)も挨拶、会場は沸いた。
 2018年の「第40回ちば秋の詩祭」では山田隆昭氏を講師に迎え、「山頭火と放哉の俳句―出家と遁世」を語っていただいた。種田山頭火と尾崎放哉、彼らを育てた荻原井泉水が紹介され、放浪、行乞しつつ一所不在で常に死に場所を求めて彷徨していた山頭火の句、寺住いしつつ人間の本質的な孤独を表現した放哉の句を例示、出家と遁世と生き方を違えつつ、現代詩にも通じる鋭い創作姿勢を示した二俳人を学ばせていただいた。
 さらにその前年2017年の「第39回ちば秋の詩祭」における中村不二夫氏の講演「千葉北条の山村暮鳥―詩人はそこに滞在し何を遺したか」では、現館山市の北条で結核の転地療養をした暮鳥一家の貧窮の暮しとそこから生み出された詩、童謡、童話の教示を受けた。
 このように、東京に隣接する千葉では中心イベントの詩祭にいつも現代詩人会や日本詩人クラブの会長、理事長クラスの重鎮たちを招き学ばせていただいてきた。
 しかしコロナ禍は例年の事業実施を奪い、書面による総会と隔月の理事会以外は『千葉県詩集53集』の発刊とその配布・朗読会(2020・11・1)、会報250~252(253号は印刷中)号の発行のみとなった。
 『千葉県詩集』は、会員以外にも居住地、出身地が千葉、県内詩団体会員など千葉ゆかりの書き手が多く参加し118名という近年では最多の参加者となった。例年11月の詩祭での配布に続き、12月の県の学びフェスタの一環として「県詩集朗読会」を行なってきたが中止となった。秋元炯編集委員長が中心となり、何とか配布・朗読会ができないかと協議し、県文化課の応援も得て100名収容の音楽・視聴覚室を借り、感染対策を徹底し、22名参加の朗読会が挙行できた。都内、埼玉、茨城などからも駆けつけた参加者の表情は久々の集会と自作詩朗読の喜びで輝いた。これを機に20代の若い詩人2名の入会があり大きな収穫となった。
 会報発行は加藤廣行理事の周到な編集力で着実に号を重ね、紙上講演となった柏木勇一会員の第13回詩の研究会、谷口ちかえ講師の第14回同会共会報で充実度を知らしめた。
 斎藤正敏「光芒」、高安義郎「玄」、中谷順子「覇気」、根本明「千葉市詩話会」冊子、柏木勇一「詩の鍵穴」、上手宰「千葉詩人会議」など執筆活動も旺盛である。現代詩人会の年会費担当理事根本明、日本詩人クラブの新しい詩の声担当理事秋元炯共に詩界への貢献にも大きいものがある。
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