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- 【速報】第75回H氏賞、第43回現代詩人賞の選考委員が下記のように決定しました。(2024.12.15)
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- 【お願い】連絡がとれない会員がいらっしゃいます。何かご存知の方はご連絡願います。 (2024/11.28)
- 【日本現代詩人会全会員名一覧】
2024年11月21日の第4回理事会において、第75回H氏賞、第43回現代詩⼈賞の選考委員が決定しました。
両賞とも、2025年2月1日の第1次選考委員会で候補詩集が推挙され、3月1日の第2次選考委員会で受賞詩集を決定します。
■第75回H詩賞選考委員(敬称略)
相沢正一郎、小笠原眞、篠崎勝己、
田中裕子、根本明、山中真知子、
野村喜和夫(理事)
■第43回現代詩人賞選考委員(敬称略)
海埜今日子、加藤廣行、北川朱実、瀬崎祐
浜江順子、北條裕子、浜田優(理事)
■投票管理委員(敬称略)
柊月めぐみ、生駒正朗
【選考日程】(場所は早稲田奉仕園)
◆開票理事会(開票および集計)
2025年2月1日(土) 11時~15時
◆第1次選考委員会(候補詩集の決定)
2025年2月1日(土) 16時~18時
◆第2次選考委員会(受賞詩集の決定)
2025年3月1日(土) 13時~17時
■H氏賞、現代詩人賞の会員投票にぜひご協
力ください。
◎投票用紙は12月24日に発送いたします。
◎会員投票の締め切りは、2025年1月25
日(消印有効)です。
◎対象詩集は、2024年1月1日から12月
31日に発行されたことが、奥付にあるもの
とします。
《問合せ先》
詩集賞担当理事・渡辺めぐみ
電 話 03・3701・1986
FAX 03・3701・2271
理事長・塚本敏雄
電 話 090・2622・9737
FAX 029・857・5376
日本の詩祭2024第Ⅰ部 贈呈式・先達詩人の顕彰・詩朗読
「詩投稿 第34期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。
オルゴールは
生ぬるい風をまとったように
あやふやな音階で繋がっている
それは ゆりかごのふちに沿わせる歩行だから
ゆらめいて
かすんで また
帰路のかたちを結んで かすんだ
もっとも古い鏡
火山ガラスにふり積もった花粉が
糸を伸ばして
青い目の奥へ沈んでいく
その
からだを捨てていくような速度は
種子のやわらかい膝に 刻まれている?
まなこのドーナツ盤に
針を 落として
爪先を霊魂に忘れてきたのに
こうしてまだ歩いているのが 不思議だった
夢の火口付近
灰を積みあげる少女は
ひゃく、せん、まん、と どのくらい
かぞえうたを歌うだろう
どの手が 宇宙と 繋ぎたがって いるのか
花粉になって
分け入っていく
おいしいかい
水で満たされたオブラートの
ミトコンドリアの みどりごたち
純粋な光のたまを乳にして
脈をうつ喉は
そのまま黒点の似姿のよう
鏡の気泡のなかで
かおはゆがみ
少しずつあらましを変えていく
さあ あなたもどうぞ
どんな目でもお好きな目を
あなたが見ようとおもう分だけ さあ
まつ毛をくすぐる声が
その生ぬるく まるい息が
逆さ回転のオルゴールのように
魂のもつれをほどいていく
火口のふちに腰をかける
火の粉の少女たち
くるぶしを煙にひたして
ばた足を おもい出そうとしている?
しぶきの合間にのぞく
群青いろの血管は
タトゥーのようにも
交じり合えない孤島のようにも見える
ちいさな迷よい子の国々が
火山ガラスのふかい海を 仰いでいる
母は段ボール箱いっぱいに入った蜜柑を買ってくると、息子を呼んでテーブルに並べるように言った。息子は首を傾げながらも一個一個蜜柑を並べていった。なぜそのようなことをするのか、尋ねようともしなかった。横に十個、縦に五個、合わせて五十個の蜜柑をきれいに並べ終えると、母を見てこれで良いのかという顔をした。
母は蜜柑を一個手に取ると、それを息子に渡して食べるように言った。息子はなんの疑問をもつこともなく蜜柑の皮をむくと、実を頬張った。食べ終えた後で母は言った。「あなたは今人を一人殺した」その言い方はまるで蜜柑が美味しかったと言うような感じだった。息子は蜜柑の皮を並べてあった場所にそっと戻した。
母はまた蜜柑を一個手に取ると、それを今度は自分でむいて食べだした。母は食べ終えるまで一言も発しなかった。食べ終えた後「わたしも今人を一人殺した」と言った。その言い方はまるでお腹いっぱいになったと言うような感じだった。母は食べ終えた蜜柑の皮を元の列に戻すと、手を叩いて祈りだした。
息子は母からなにも言われる前にもう一個蜜柑を手に取った。皮をむき、実を頬張り、喉に流し込んだ。「ぼくはまた人を一人殺してしまった」と言うと、自らの頬を思いっきり抓った。そして蜜柑に向かって深々と頭をさげた。母は悲しそうに息子を見つめると、自分も新しい蜜柑を一個取って食べた。息子とは違って頬を撫でた。
キッチンの前にテーブルはあり、その上に蜜柑は並んでいた。ステンレス製の流し台の上にはフライパンや鍋、洗って乾かしている食器などがあった。部屋を囲むように冷蔵庫や食器棚が置かれ、壁の開いたスペースには三年前に蜜柑を喉に詰まらせて亡くなった父の写真が飾られていた。写真の父は見知らぬ山の頂上で笑っていた。
母は五個蜜柑を食べた。つまり五人の人を殺したわけだ。息子も五個蜜柑を食べた。息子も同様に五人の人を殺したことになる。「お腹が空いたら私たちはまた蜜柑を食べて人を殺すでしょう」と母は言った。「殺さないことなんて不可能だ」と息子は答えた。十枚の皮と四十個の蜜柑が定規で揃えられたようにテーブルに並んでいた。
蟻が三匹テーブルに上ってきた。一匹は皮のなかに入って止まり、一匹は蜜柑の周りをぐるぐると回り、一匹は蜜柑の上に乗って得意そうに立ちあがって周りを見回していた。母は蟻を殺そうとはしなかった。息子も蟻を眺めているだけだった。蟻は飽きたのかやがてテーブルから下りていった。母は蟻が乗った蜜柑を優しく撫でた。
息子は食べた後の蜜柑の皮を手で寄せて集めるとごみ箱に捨てた。その後きれいに並んでいた四十個の蜜柑を混ぜてばらばらにした。母は悲鳴をあげた。「生命を冒涜してはいけない」と言って、息子の頬を平手打ちした。息子は椅子から倒れて床に頭をぶち当て、頭から赤い血を流した。息子は泣いていたが、母を憐れんでいた。
ばらばらになった蜜柑を母はまたきれいに並べていった。息子は手伝わなかった。蜜柑を食べることと人が死ぬことに関連はないと息子は知っていた。知っていて母に従っていたのだった。母は蜜柑を並べ終えると「もう食べない。だから誰も殺さない」と言った。その後で「殺さなければ餓死して死ぬだけだ」と息子を睨んで言った。
母は蜜柑を食べなかった。蜜柑は腐っていった。息子は腐った蜜柑をごみ箱に捨てた。「殺しても、殺さなくても人は死ぬ」と母は言った。死ぬことと、殺すことは違うと、息子は言いたかったが言わなかった。息子は母を心から愛していた。母の手を取り、唇を寄せたがその意味を母は理解できなかった。母は遥か遠くを見ていた。
- 2025/1/19
- 「詩投稿欄 第34期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開しました。
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