- 【わたしたちはロシア・プーチン大統領に起因する不条理に反対し、ウクライナの人々の安全と平和を 強く望んでいます。──日本現代詩人会HP運営委員会】
- 【速報】第75回H氏賞、第43回現代詩人賞の詩集が下記のように決定しました。(2025.02.01)
- 【子どもへの詩の普及】「清流の国ぎふ文化祭2024 詩コンクール」(2024/12/15)
- 【お願い】連絡がとれない会員がいらっしゃいます。何かご存知の方はご連絡願います。 (2025/02.22)
- 【日本現代詩人会全会員名一覧】
2025年3月1日(土)午後1時から、東京都・早稲田奉仕園セミナーハウスにおいて、第2次選考委員会が開かれました。詩壇の芥川賞とも呼ばれるH氏賞と、中堅以上の詩人に贈られる現代詩人賞が決定いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。なお、授賞式は6月1日(日)私学会館アルカディア市ヶ谷にて開催される「日本の詩祭2025」にて挙行される予定となっております。何卒よろしくお願い申し上げます。
◆2025年度 第75回H氏賞(賞金50万円及び記念品)
●受賞詩集『ハルシネーション』(七月堂)
●受賞者 草間 小鳥子(くさま ことりこ)
●受賞者プロフィール
1987年神奈川県生まれ、神奈川県在住。日本女子大学文学部英文学科卒。第27回詩と思想新人賞を受賞し。2020年に詩集『あの日、水の森で』(土曜美術社出版販売)を刊行。映画主題歌の作詞、プロダンスリーグ「Dリーグ」への詩の提供、音楽家と俳優と結成したユニット「Poetic Mica Drops」としてポエトリーショートドラマの制作ほか、多様な媒体で詩作にかかわっている。小詩集『ビオオープ』(資生堂花椿文庫)、詩集『あの日、水の森で』(土曜美術社出版販売)、詩集『源流のある町』(七月堂)、詩集『ハルシネーション』(七月堂)。
<第75回H氏賞選考委員> ◎根本明(選考委員長)、相沢正一郎、小笠原眞、篠﨑勝己、
田中裕子、山中真知子、野村喜和夫(理事)
●受賞詩集 『花下一睡』(七月堂)
●受賞者 秋山 基夫(あきやま もとお)
●受賞者プロフィール
1932年神戸市生まれ、岡山県在住。岡山大学卒。1960年代から自覚的に詩作。1970年代、片桐ユズルらと<オーラル派>として自作詩朗読を積極的に行う。1990年代より集中的に詩集を刊行。
主な著書:『旅のオーオー』(1965年思潮社)、『十三人』(第1回中四国詩人賞)、『家庭生活』(第16回富田砕花賞)、『夢ふたたび』(長編詩)、及び二十余冊の詩集刊行。他に、評論集『詩行論』など数冊。
<第43回現代詩人賞選考委員> ◎瀬崎祐(選考委員長)、海埜今日子、加藤廣行、
浜江順子、北條裕子、北川朱実、浜田優(理事)
2025年2月1日午前11時より、開票
のための理事会が開かれた。投票管理委員
の柊月めぐみ氏、生駒正朗氏の立会いのも
と、会員からの投票が開封され、集計され
た。その結果、第75回H氏賞候補投票は次
の結果となった。投票率は、30・0%だっ
た。 (第43回現代詩⼈賞は下段)
①林美佐子『ピコピコハンマー』 11票
②草間小鳥子『ハルシネーション』 10票
③雪柳あうこ『骨を撒く海にて、草々』
8票
④宮田直哉『ある風景』(書肆子午線)
7票
④角 朋美『透明な遠くへ』 7票
④市川恵子『世界にあるもの』 7票
⑦佐野亜利亜『女子の掟、もしくは』6票
⑦橘しのぶ『水栽培の猫』 6票
⑦丸田麻保子『カフカを読みながら』6票
(敬称略)
以上の9詩集を理事会として決定。同日
午後4時より開かれた第75回H氏賞選考委
員会に申し送りされた。
H氏賞第1次選考委員会ではこれらに加
えて、次の3詩集を推薦詩集とした。
漆原正雄『風を訪うまで』
山内優花『きせつきせつ』
寺道亮信『乳既』
(敬称略)
結果、12冊の詩集が第75回H氏賞候補詩
集として決定した。3月1日の第2次選考
委員会で受賞詩集が選出される。
■第75回H詩賞選考委員(敬称略)
相沢正一郎、小笠原眞、篠崎勝己、
田中裕子、根本明(委員長)、
山中真知子、野村喜和夫(理事)
2025年2月1日午前11時より、開票
のための理事会が開かれた。投票管理委員
の柊月めぐみ氏、生駒正朗氏の立会いのも
と、会員からの投票が開封され、集計され
た。その結果、第43回現代詩人賞候補投票
は次の結果となった。投票率は、30・0%
だった。(第75回H氏賞は上段)
①佐川亜紀『その言葉はゴーヤのように』
23票
②田村雅之『魂匣』 11票
②春木節子『行方しらず』 11票
④たかとう匡子『ねじれた空を背負って』
10票
⑤河野俊一『ストーマの朝』 9票
⑥吉田義昭『海と重力』 8票
⑦岩木誠一郎『声の影』 7票
⑦冨岡悦子『斐伊川相聞』 7票
⑦瀬野とし『まわれまわれ』 7票
(敬称略)
以上の9詩集を理事会として決定。同日
午後4時より開かれた第43回現代詩人賞選
考委員会に申し送りされた。
現代詩人賞第1次選考委員会ではこれら
に加えて、次の3詩集を推薦詩集とした。
秋山基夫『花下一睡』
篠﨑勝己『死ねない魂のための音楽』
眞神 博『精神の配達』
(敬称略)
結果、12冊の詩集が第43回現代詩人賞候
補詩集として決定した。3月1日の第2次
選考委員会で受賞詩集が選出される。
■第43回現代詩人賞選考委員(敬称略)
海埜今日子、加藤廣行、北川朱実、
瀬崎祐(委員長)、浜江順子、
北條裕子、浜田優(理事)
日本の詩祭2024第Ⅰ部 贈呈式・先達詩人の顕彰・詩朗読
「詩投稿 第35期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。
緒方水花里「ターミナル」
すきでもない人のために花を送るのが花屋で
すきでもない人のために停まるのがバス
すきな人のためだけに停まれば良いのに
でもバスに乗るほどすきな人はいないし
バスは人をすきにならないから
すきでもない人のためにバスは停まる
すきでもない景色を見ている
すきでもない人のために名前を変えるのが結婚で
それはすきな人のためか
でも今までずっと一緒にいた名前は
すきでもない人の名前なのだろうか
すきでもない人のためじゃなくて
すきな人のために生きるのが結婚だから
すきな人の名前以外は捨ててしまいましょう
それがすきでもない名前ではないと
言えない社会がすきでもない
すきでもない人のために花を貰うのがマナーで
すきでもない人のために停まらない自家用車
すきな人のためだけに生きられたら良いのにね
すきでもない人のために暑い中
交通整理をしなきゃいけないのはなんでだろう
そんな暇があったら
すきな人にアイスクリームを買えるのに
お金を貰えるからです
すきな人のためにすきでもないバニラアイスを買うより
福沢諭吉のことがすき
結婚したいくらいすき
すきでもない人のために生きないでね
これからは自分のために生きてね
すきでもなくなった人たちはそう言い合って
バス停で手を振って別れるけど今まで
すきでもない名前を背負って
すきでもないバニラアイスを買うために
すきでもない交通整理をしていたのに
そんな自分をすきになって生きるなんて
それはきっとすきでもない人のため
自分のためではない誰かのため
バスターミナルはすきでもない人で満ちていて
誰も彼もが大好きな福沢諭吉を握って
すきでもない街に行ったり
すきでもないお土産を買ったり
皆自分のためだけに生きたら良いのに
すきでもない泣いてる人に
席を譲ってくれたり
バスの出発を遅らせてくれたり
それはきっとすきでもない人のため
そんな自分をすきになって生きるため
すきでもない人のために生きないをしたい
涼しい部屋で丸くなって
チョコミントだけを食べられる
部屋には誰も入って来なくて
すきでもない人のために
交通通整理をしたり
アイスクリームを買ったりしなくて良い
だいすきな諭吉と2人きり
でも諭吉は何も話してくれなくて
アイスクリームも食べてくれなくて
すきでもなくなった人がくれた花が
水を替えるのはすきでもないので枯れて
部屋の外に出るのは
すきでもない人が溢れているから怖い
すきでもない人のために信号を守ったり
すきでもない人のことを思い出したりは怖い
涼しい部屋の中でひとりきりで
そんな自分がすきでもなくなって
赤信号に突っ込みたくなる
すきでもない名前のある紙を
すきでもないのにゴミ箱に入れる
そこらへんに置いとけば良いのに
すきでもないゴミ収集の人と
すきでもなくなった人がそれは
すきでもないかと思って
ゴミ箱にはすきな人はいないので
すきでもない名前とお見合いさせましょう
高速バスの予約表と
アイスクリームの包み紙を一緒に
ベンチの裏に自販機を置いて
諭吉を英世にする社会も
すきでもないと言えないのは
アイスクリームで口が塞がる
交通整理はすきでもないけど
すきでもない人がすきでもない街に
無事に辿り着けるように暑い中
すきでもない景色を見ている
佐々木春「ホイール」
ベランダの白いプラスチックの植木鉢にまっすぐ日が射したからわたしはガラスの球根をきみに渡すと好きなところに植えてきてってお願いする。きみはそれを空色のサコッシュにくるむと次の朝の始発に乗ってわたしたちは生きてるけど死んでることについて書かれた本を読みながら西の方へと向かう。
車両にまっすぐ並んだ窓に流れる手がかりのない景色と見慣れた文字の組合せはトースターのダイヤルを指先で回すみたいにとても気軽にできてるからきみは心を許さないようにサコッシュの上に湿り気のない手のひらを重ねる。
違うラインが引かれた電車を乗り継いで代わり映えのない駅を数えていくけどきみは結局ひとりぼっちでその日の終わりに誰の思い入れもないホームに降りるとぽっかり浮かぶ夜行フェリーの甲板に立ってることに気がつく。
仄かな爪痕が瞬く海できみは潮風に吹かれながら切れそうな月にガラスの球根をかざしてみるとそこに映るのはどこか知らない赤色矮星。か細い光はガラスの面で屈折しながら夜空の片隅に向けて進んでいくからわたしは夜の底を平行して走る新幹線の窓からその一筋のフィラメントを見ている。
きみが乗る船は深い呼吸を繰り返しながら夜を超えて靄に浮かんだ朝焼けのターミナルにたどり着く。開いたばかりの売店できみはアイスクリームを掬ってがらんと空いたガラス張りの天井を見上げると伸び縮みする時間の中でいつかこの場所に来たことがあるような気がする。
わたしときみが出会う前みたいに空気が薄く広がる街をきみはガラスを素手で握って冷たい風に押されながらまっすぐ伸びた道を歩いていく。たまにすれ違う人の姿を球根はブランコみたいに揺れる視点で映すけどきみはいつものぶれないアングルで通り過ぎる。
起き抜けの商店街の長いアーケードを抜けて駅ビルの上の観覧車が見える小さな公園に通りかかると草臥れたベンチに黄色いスコップと赤いステンレスの水筒が忘れられてる。きみは少し迷ってからベンチに腰かけてガラスの球根を水筒の隣に並べてみるとその色合いはいつかわたしの擦り傷に浮かんだごまかしのない水に似ている。
きみはふと携帯をとりだしてわたしたちがこれまで心に削ってきたいろんな図形をぼんやりと眺める。ゆっくり立ち上がって滑り台の下の湿った土をスコップで耕してから洋梨くらいの穴を掘る。ベンチの球根をやさしく深みに下して上からそっと土をかぶせる。
水飲み場で入れた水を円を描くように水筒から落とすと辺りの土の色が変わる。きみは他愛のない自由をこらえながら時間を止めるように公園から歩きだす。
すっかり日が昇ってたくさんの人と行き交うけどきみは心を覆う空の隙間を埋めるように記憶を回す観覧車だけを見つめながら駅に向かって歩いていく。
わたしは視線の先にある古びた白いゴンドラに座って咲くか咲かないかわからない花のことを考えながらきみがわたしを通り過ぎるのをいつまでも待ってる。
長澤沙也加「振り返らないアパートで」
冷え切ってしまったお湯を
もう一度だけ沸かすために
やかん片手にあなたが暮らすアパートへ
聞いたこともない路線に乗って
聞いたこともない駅で降りて
歩いていく足は
コンビニの明かりとガードレールに絡めとられ
進むごとに
子どもの靴の反射材に変わり
薄鼠色の空の下
ひんやりとしたモルタルが
祖父の家で過ごした夏休みの湿度に変わる
ぐるりの土間
炭を宿した掘りごたつを囲う
上りかまちの奥にある座椅子は
朽ちた布とウレタン
バネが飛び出た隙間で
今はどこにいるのかわからない祖父は
体の形に黒ずんでへこんでいた
お湯 沸いたよ
動けない祖父に代わり
豆電球だけが灯る台所へ
床に置かれた
鞄の中の暗闇を覗き込んだとき
鈍い光を見つけた
しん、として
いくら指でつついても反応しなくなった
カブトムシの屍みたいだった
光が消える
母の怒鳴り声
汗が混じった手のひらの中に
財布から盗った千円札が湿っていた
話をするだけ
たったそれだけでいい
呪文を粘土にして口の中で捏ね
やかんを左手に持ちかえ
あなたのアパートの鍵穴にスペアキーを差し込む
ドアノブを回す
手のひらが
千円札の湿り気をはっきりと覚えていて
冷え切った湯が
もう一度 沸く温度が知りたいだけ
今度こそは
欲に負けないように
決して振り返らず
靴底の薄いつま先を
ドアの隙間に差し込む
親指の二枚爪がいつまでたっても治らない

- 2025/4/3
- 「詩投稿 第35期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。
- 2025/3/22
- 「詩投稿 第35期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。
- 2025/3/2
- 「詩投稿 第35期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。
- 2025/2/17
- 「詩投稿 第35期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。
- 2025/2/8
- 各地のイベントから(会報177号より)
- 詩界ニュース
- ◆会員名一覧 あ―お最終更新日 2023/12/1
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- ◆会員名一覧 あ―お最終更新日 2023/12/1
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