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詩界ニュース

2015年10月新着情報

2015年10月新着情報

詩界ニュース(2015年9月20日受まで)

◇日本詩人クラブ新役員 会長・武子和幸、理事長・太田雅孝、理事・鈴切幸子(総務)、長谷川忍(総務)、冨岡悦子(例会)、水嶋きょうこ(会報)、谷口ちかえ(ホームページ)、小野ちとせ(会計)、細野豊(国際交流)、下川敬明(詩界)、林哲也(詩の学校)、中村吾郎(地方大会)、岡野絵里子(入会)、中井ひさ子(詩書画展・アンソロジー)、村尾イミ子(三賞)、江口節(関西大会)、監事・狩野敏也、千木貢=任期は2017年総会終了まで

◇7・4「新井豊美評論集刊行記念『ゲニウスの地図』への旅」シンポジウムと出版記念会(東京堂書店、三省堂書店)出演=福間健二、水島英己、瀬尾育生、倉田比羽子、井坂洋子、添田馨

◇8・1 祇園と源氏で綴る 京おんなの恋(京都府立府民ホール)歌・奥田あつ子、朗読・白川淑「最後の舞子ちゃん」、対談・白川淑/氏田敦

◇8・15 「第18回ロルカ詩祭」(神戸市中央区・スペイン料理カルメン)出演=安西左有里、大西隆志、大橋愛由人、今野和代、福田知子、高谷和幸、千田草介、にしもとめぐみ、中堂けいこほか

◇8・15 日中韓3か国語連詩プロジェクト&リーディング(東京堂書店)出演=四元康祐、明迪、金恵順、野村喜和夫ほか

◇8・22 長野市立長野図書館会館30周年記念式典 記念講演会・杉本真緯子「裾花川」

◇8・29 宮城県詩人会朗読会「ポエジー/序破急」(白石市の能楽堂:碧水園)宮城県詩人会会員による詩の朗読と歌と演奏(永井寛、秦っぺ)朗読者は、及川良子、大林美智子、笠原千衣、金子忠政、竹内英典、西田朋、日野修

◇9・5 仙台ポエトリーフェスタ2015 テーマ:「越境」。詩と多彩なジャンルのコラボレーション(仙台市若林区・|Q150スタジオ)出演・秋亜綺羅、暁方ミセイ、一方井亜稀、及川俊哉、カニエ・ハナ、只野展也、丹野久美子ほか

◇9・12 朗読と座談会「第82回声のライブラリー」(日本近代文学館)朗読:新井高子、若松英輔 司会:伊藤比呂美

◇9・12 岐阜県詩人会・詩の実作講座(美濃加茂市生涯学習センター)

◇9・20 第11回日本詩歌句協会授章式(東京都北区・北とぴあ)

◇9・22 第25回宮沢賢治賞授賞式(岩手県花巻市・なはんプラザ)

◇9・26 横浜詩誌交流会主催第38回講演と詩の朗読の集い(横浜市中区常磐町 馬車道十番館)講師・中村不二夫「横浜から、現代詩へ提言」 詩の朗読・横浜詩誌交流会有志

◇9・27 Down Beatフォーラム「平林敏彦さんを囲んで」(男女共同参画センター横浜)第一部「詩集『朝起きてぼくは』&『藁の服』」 第二部「平林敏彦さんを囲んで」出演:平林敏彦、金井雄二、中島悦子(司会・柴田千晶、廿楽順治)

◇10・3 第15回中四国詩人会山口大会in湯田温泉 第15回中四国詩人会表彰式 記念講演「もしも、詩があったら」アーサー・ビナード

◇10・4 ふれあいの祭典 詩のフェスタひょうご(神戸市中山手通・ラッセホール)◇講演会「「書く」こと、「待つ」こと─中原中也とチェホフをめぐって」 講師・佐々木幹郎

◇10・4 竹林館祭2015 合同出版記念会(大阪キャッスルホテル)代表挨拶・佐子真由美 1分間スピーチ、詩朗読、ピアノ演奏、腹話術&マジックなど

◇10・10 国際交流スペイン2015 ガルシア・ロルカ生誕の地グラナダの代表的現代詩人 ペドロ・エンリケスを迎えて(セルバンテス文化センター東京)日本詩人クラブ、セルバンテス文化センター東京共催

◇10・10 輝け九条!詩人のつどい(エル大阪5階視聴覚室)開会あいさつ・有馬敲。平和憲法九条朗読・司由衣。トーク「わたしの思い」左子真由美、原圭治。詩朗読 江口節、登り山泰至、秋野かよ子、中村純、瀬野とし、名古きよえ、玉川侑香、熊井三郎、中原道夫。事務局:榊次郎。全体責任:佐相憲一

◇10・11 第21回クロコダイル朗読会─絶対的な全裸はどこだ?─(渋谷クロコダイル)出演・天沢退二郎、杉本真維子、天童大人、細田傳造、石下典子、渡辺めぐみ、田中眞由美、浜江順子ほか

◇毎月第4木曜日18時「朗読会の夕べ」くまもと詩の朗読の会(熊本市現代美術館)問合わせ・小林尹夫(096―352―9660)


各地のイベントから

岩手詩祭2015開催 「地域創生と現代詩」―斎藤彰吾氏講演 くみつづけよう詩の泉

 「くみつづけよう詩の泉」をテーマに、岩手県詩人クラブは「岩手詩祭2015」を岩手県公会堂(盛岡市)で7月18日に開催した。

 詩祭の第一部では、岩手県詩人クラブの第三代会長で日本現代詩人会員でもある斎藤彰吾氏が「この頃思うこと―地域創生と現代詩」と題して講演。その中で東京一極集中が戦後一貫して変わらなかったことを批判しながら、氏は谷川雁の「東京にゆくな」がメタファーだけの作品であったが、読んでこみ上げてくるものがあり、その作品が自分の支え、励ましになったことを語った。さらに、詩の言葉の命を創り出そうと詩の雑誌を発刊し、やがてそれらの活動が岩手県詩人クラブを創立することになった経緯を報告。一極集中により方言が消えてゆく現状を嘆きながらも、詩で伝え合う、分かち合う、支え合うことの大事さ、響き合う岩手の創造を提案して講演を締めくくった。

 第二部では、毎年刊行している年刊アンソロジー詩集「いわての詩 2015年版」に収録されている作品の朗読会を行った。当初朗読を予定していなかった会員も舞台に上がり、出席会員全員が自作詩を朗読したことになり、日本現代詩人会の北畑光男理事長にも朗読をお願いできたことが収穫だった。

 第三部では、4グループに別れて合評会を行った。昨年度は約30名の参加者全員での合評会のため、1作品について10数分しか合評できなかった反省からグループ分けを行ったもので、これにより1作品に30分近い時間をかけてじっくりと作品を鑑賞し合評することができた。合評会の最後の全体会で、グループ別に討議内容の報告を行ったことで、合評会全体が共有された有意義な時間となった。なお、この合評会にも数名の会員外の参加者があった。終了後は別会場で懇親会を開催して充実した祝祭日となった。(岩手県詩人クラブ会長・東野 正)

 


茨城県詩人会講演会 「現実と詩の距離感」―八木幹夫氏が講演

 今年の茨城県詩人協会講演会は、八木幹夫氏を講師に迎え、7月26日(日)茨城県立図書館にて開かれました。

 タイトルは、「現実と詩の距離感─本の中に魚は泳いでいるか」。八木さんは『川・海・魚等に関する個人的な省察』という詩集を出されたばかりです。八木さんは、大震災後しばらく詩を書くことが出来なくなりましたが、「鯱」という詩を書けたことで再び詩を書けるようになり、それ以降は魚をテーマにした詩ばかりを書き、ようやく一冊の詩集にまとまったとのことでした。

 八木さんは、詩は技術であるということを明確にすることから話し始めました。詩は心のままに書けば良いということを言う方もいますが、心には形がありません。その形のないものに秩序を与えるものが言葉です。であるなら、言葉の技術は言葉を詩に昇華させていくための大きな要素です。そして、子どもが言葉を習得していくために何度も反復するように、言葉を反復することが技術を獲得していくために重要だとして、宮澤賢治の詩を引用しました。『春と修羅』の冒頭の部分です。なぜ賢治はこんなすごい言葉を書けたのか。おそらく賢治は何度も何度も言葉を反復しつつ書いている。賢治は終生自分の作品に手を入れ続けた修正魔、推敲魔でもあります。その過程で、賢治は自分を客観化、相対化する視線を持つ。大いなる現実をただなぞるだけでは詩になりません。八木さんは、多様な例を挙げながら話を進めていきます。この「大いなる現実」に大震災を重ね合わせてみると、八木さんの話の深さが分かるでしょう。

 この他にも日本語の豊穣さや多重性の視点など示唆に富む話が繰り広げられました。講演後は、藤村隆史、五島節子、尾形ゆき江の三氏による朗読と小話もあり、とても豊かな時間となりました。(塚本敏雄)

 


福島県詩祭 「講演と朗読のつどい」 詩とミステリーの不思議な関係―郷原宏氏が講演

 講演会の講師は、詩誌「長帽子」同人で日本現代詩人会会員の郷原宏さん。「詩とミステリーの不思議な関係」と題した講演は、ミステリー評論でも活躍する氏ならではギミックな語りと視点で、なぜか見過ごされている近現代詩の側面も洗い出して見せてくれた。

 「近代詩とミステリーの源流はE・A・ポーに発する」と前置きした郷原さんは、西部劇時代のアメリカを生きたミステリー小説家にして詩人の生涯を語り始め、旅役者の両親を生まれてすぐに失い、商人のアラン家に引き取られた"見栄坊でつき"だったらしい ポーの数奇な足取りを駆けめぐった。

 「近代詩歌の大道はポーから始まってボードレールに受け継がれ、マラルメとランボーを通過して全世界の詩歌に浸透した」(鈴木信太郎)という現代詩の源流をたどる旅だった。

 またミステリーファンで江戸川乱歩と親交を結んでいた萩原朔太郎の作品に現れたミステリーとのコラボレーション、詩誌「荒地」の詩人たちの名が戦後のミステリー黄金時代を支えたことなどを示し、「もっとミステリーを読んで、読者に喜んで読んでもらうためのギミック(仕掛け・工夫)を身につけるべき」と締めくくり、詩とミステリーとの90分の物語を閉じられた。(福島県現代詩人会事務局 渡辺孝行)

 


7・11「天山祭り」50周年(福島県川内村・天山文庫)

 天山文庫は、川内村をこよなく愛した草野心平のために建てられた。天山祭りは、文庫の落成を機に草野心平の発案で始められ、今年で50回を迎えた。祭りは、川内村が3・11の後、全村避難していた時も欠かさず行われ、全国からも心平ファンが駈けつけている。

 今年は第50回という大きな節目を迎え、歴程同人をはじめ多数が参加した。草野心平の詩を野村喜和夫、新延拳、伊武トーマ、原田道子さんや、地元の小学生が朗読し、その後参加者全員で『誕生祭』を朗誦した。ぎゃわろっぎゃわろっぎゃわろろろろりっ─心平のかえるのこゑが全山にこだました。

 祭り前日の10日には、新藤凉子さんが川内中学校の特別授業で「心平さんのあれこれ」と題して講演。生徒だけでなく祭りの実行委員など地元の皆さんも参加した。新藤さんは、天山祭りは、人間同士の出会いと絆を結ぶ集まりであると強調。一方、川内小学校では野村喜和夫、新延拳、伊武トーマさんが詩の朗読について指導。朗読会では小学6年生4人が草野心平の作品「えぼ」(注:いぼがえる)を朗読した。

 なお、10日夜には、「光のフォレストナイト」として、天山文庫がライトアップされ、緑に包まれた茅葺屋根の文庫が鮮やかに輝いた。8月16日まで週末を中心に点灯。隣接する阿武隈民芸館では企画展「心平が愛したかわうち」が8月23日まで開かれた。

 


第55回中日詩祭(名古屋電気文化会館)=田原氏講演

 7月12日名古屋電気文化会館で、第55回中日詩祭が開催されました。

 第一部は、中日詩人会会長の若山紀子氏の挨拶から始まりました。笑いに関する漢字を糸口に、詩のことばの大切さについて話されました。続いて、中日新聞文化部部長の長坂誠氏が、詩との出会いや漢詩への想いについて述べられました。そして、中日詩賞・新人賞の発表があり、中日詩賞に竹内新氏『果実集』が、新人賞にやまうちかずじ氏『わ音の風景』と藤原佯氏『downer』が選ばれました。選考委員長の川上明日夫氏から選考経過の詳細な報告があり、知人による各受賞者の紹介、受賞者本人の挨拶と続きました。知人だからこそのエピソードが吐露され、それぞれの詩を読む絶好のヒントが得られました。本人の挨拶もそれぞれ個性にあふれていました。竹内氏はあの世では陶淵明に会いたい、新詩集が賞をもらい、名刺代わりが出来たとの発言に、会場はどっと沸いていました。やまうち氏は、今後の決意を実直に述べられ、若い藤原氏(1976年生まれ)の朗読は、パイプオルガンの低音のようで、秘めた熱意のようなものが伝わりました。

 第二部では、田原氏の講演「本当のバイリンガル」がありました。1965年中国生まれの田原氏が日本に来た経緯、宇佐美孝二氏に勧められて日本語で詩を書き始めたこと、現代詩の今の状況について等々、フランクに話され、身を乗り出して聞き入ってしまいました。特に、中原中也について、ガルシア・ロルカと比較して述べられた点は、とても衝撃的でした。中也の詩は閉鎖的だろうか、翻訳に耐えないだろうか、世界に通用しないだろうか、日本語で詩を書く一人ひとりに、重い宿題が与えられたように思います。

 休憩後の第三部は、カウンタテナーの松林宗弥氏の引き語りコンサートがありました。(広報担当・古賀大助)

 


9・19 関西詩人協会「講演と演奏と朗読・放送劇の午後」

 大阪市中央区のドーンセンターで開催。第一部講演はたかとう匡子さん(兵庫県現代詩人協会会長)の「言葉と経験」。詩集『ヨシコが燃えた』について、戦争や災害による母の悲しみを表現したかったことなどを語った。クラリネットとバイオリンによる演奏、参加者全員による「花は咲く」の合唱に続く第二部は、戦後70年「いのちの記憶をつなぐ」と題して、有馬敲氏ら関西の詩人たちが時代を象徴した作品を朗読。放送劇は、原発作業に従事する作業員の一家をテーマにした「いのちを削る」。京都放送劇団の朗読が参加者に感銘を与えた。イベント参加者は95名。

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