各地のイベントから(2017年12月31日受まで)
各地のイベントから(2017年12月31日受まで)
「秋田の詩祭2017」開催される
秋田県現代詩人協会の「秋田の詩祭2017」が、十月十四日(土)「あきた文学資料館」において開催された。(参加者五十名)
秋田の詩祭は「詩の講座」と「詩表現を楽しむ集い」の二つを柱としており、一昨年まで日を別にして開催されてきたが、昨年から一日に統合し新たなスタートとなった。
詩の講座では、午前の部に現代俳句協会鈴木修一氏を講師に招いた。演題は「詩と俳句との接点」。今年の講師検討時に、短詩型文学の視点を学ぶ機会があってもいいのではないかとの意見があり、初めて実現した。講演では、詩という共通した世界観における視点や表現力について触れられた。午後の部では、当協会第三代目の会長で日本現代詩人会員の亀谷健樹氏と、当協会副会長の駒木田鶴子氏による秋田の先達詩人とその作品について講演があった。今回は六人の先達について触れ、各詩人との出会い、生き方と作品、詩論などが紹介された。時代背景を含め、こうした機会と研究の必要性をあらためて痛感した。
詩表現を楽しむ集いでは、午前午後に分けて高校生を含めた六名が詩の朗読を行ったほか、オカリナ奏者による演奏と詩の朗読とのコラボなど、表現する楽しさ美しさを体感することが出来た。
今回、日本現代詩人会の後援を得ることが出来たことに対し、感謝申し上げたい。(文責 前田 勉)
板橋詩人連盟「詩のつどい」米田かずみ
十月十五日、板橋区文化会館で今年も現代詩人会の後援により区民文化祭「詩のつどい」が開催された。
雨模様の天候だったが参加者が八十人を超え、盛況な会となった。板橋区民詩集も三十二集となり、今年は、小中学生十八人を含め六十九人の応募があった。
多忙の中、板橋区長も挨拶に見え、区長賞区議会議長賞、教育長賞の三賞が手渡された。
「詩のつどい」は板橋区の文化行事の一つとして開催されている。行政が文化行事をこのように奨めている区は他には無いことだろう。
八木幹夫氏による講演「わかりやすい現代詩」―短歌から詩へ―は大変好評だった。
詩は心に響くものであり、難解で独善的な詩を書くのではなく、他者に伝えるために書くのだという内容だった。詩の原点について考えさせられるものだった。参加者からも、わかりやすい話だった、詩を書く意欲が湧いてきた等の感想が寄せられた。
下川明、竹内美智代、長谷川忍、中井ひさ子、山本みち子氏等、日本現代詩人会、日本詩人クラブ有志による詩の朗読がギターの伴奏で行われ、参加者の心を打った。
充実した一日だった「岩手詩祭2017」
「万象の零せることば 聴きとめて詩歌に!」をテーマに、「いわて詩祭2017」を花巻市市民交流センター(花巻市)で10月28日に開催した。参加者は24名である。
詩祭の第一部では、岩手県詩人クラブの重鎮である大村孝子さんが「花巻の詩人たち」と題し、明治から昭和にかけての詩人達として岡山不依、梅野啓吉、健造兄弟を中心に取り上げて講演を行った。岩手県詩人クラブの前身である岩手県詩人協会が大正14年に結成された時、宮沢賢治も梅野らと一緒に参加したこと。梅野らは民主的な運動と係わりながら詩作を続けるなかで、昭和5年に特高による摘発で検挙された。(県内の検挙者は百名以上)梅野兄弟が釈放された直後に病気療養中の宮沢賢治が慰労のために訪れていた事実なども含め、当時の民主的な詩人達が、苛酷な時代の中で弾圧を受けていたことを知る有意義な講演となった。
第二部では、岩手県詩人クラブが毎年刊行している年刊アンソロジー詩集「いわての詩 2017年版」に収録されている自作品の朗読会を参加者全員で行った。このアンソロジーは一人40行以内という制限の中で編集しているもので、朗読する側そして聞く側にとっても適当な長さであるため、参加者の意識の集中状態が継続した朗読会となった。
第三部では、3グループに分けて合評会を行った。一作品に30分近い時間をかけることができて、じっくりと作品を鑑賞しながら合評することができた。合評会の最後の全体会で、グループ別に討議内容の報告を行ったことで、合評会の討議結果の全体が共有された有意義な時間となった。
終了後は別会場で懇親会を開催したが、80代の参加者からは「今日一日大変楽しくて全く疲れを感じない日だった」との感想があった。まさにその一言に尽きる充実した祝祭日となった。(岩手県詩人クラブ会長 東野 正)
「いばらき詩祭2017石岡」(茨城県詩人協会)
十月二十二日(日)、「いばらき詩祭2017石岡」が開かれました。石岡市は県中央部に位置し、かつてこの地方の国府が置かれていた街です。午前中には歴史ボランティアの協力で、「歴史散歩」を行う予定でしたが、大きな台風が接近する天候となったので、香丸資料館というギャラリー&カフェに移動して、歴史ボランティアの解説を聞きました。このギャラリーでは、詩祭に合わせて詩画展を開催していたのです。詩画展は、茨城県詩人協会会員を中心に、二十四名の方が参加して、素晴らしい展示ができました。
午後は、石岡市立中央図書館に移動し、詩祭本番となりました。最初は、八重樫克羅さんが「詩と私」と題し、自分の詩との関わりを語りました。八重樫さんは、ご退職後、石岡市にお住まいですが、長らくNHKに勤務なされ、「中学生日記」の制作など様々な部署でご活躍なさった方です。その後、高山利三郎さんが「子ども・ことば・詩」というタイトルで、中学生や小学生に詩を題材に授業を行ってきた話をなさいました。恒例の、会員による詩朗読は、谷垣恵美子氏、やまぐちみずえ氏、山本光一氏。さらに、硲杏子会長によるお話と詩朗読。
台風にも負けない、熱気に満ちた会となりました。(塚本敏雄)
第三十九回ちば秋の詩祭から
千葉県詩人クラブの平成二十九年度秋の詩祭が、十一月五日(日)、千葉市生涯学習センター、小ホールにおいて開催された。千葉県との共催、千葉市、日本現代詩人会、日本詩人クラブからは、ご後援をいただいた。
当日は参加者八十四名という、昨年に引き続き、会場が満杯となる盛況で、椅子を急きょ追加しなければならない程であった。
開会宣言の後、主催者挨拶を庄司進会長、また来賓として、千葉県県民生活・文化課の糸原清氏と当クラブ顧問の斎藤正敏氏に祝辞をいただいた。
講演講師には、中村不二夫氏をお迎えした。講演の題は、「千葉北条の山村暮鳥 ―詩人はそこに滞在し、何を遺したか―」であった。山村暮鳥の詩人としての活動は三期に分けて考えると、『聖三稜玻璃』に代表される第一期と、『雲』に代表される第三期。その間の第二期は、千葉県北条町(現在の館山市内)で貧困生活をしていた時代が中心となるとのことであった。単に一時期千葉県に在住していたというだけではないのだという話が印象的であった。
また、千葉北条時代の困窮生活が偲ばれる詩四篇を、松田悦子氏、山中真知子氏が朗読した。そのうちの一篇、「真実に生きようとするもの」は、原稿用紙八枚の大作。しかし、隅々まで気迫のこもった力作であった。中村氏の講演も、詩人山村暮鳥の功績を伝えずにはいられないという、情熱溢れる熱弁であった。
詩祭ではこのほか、当クラブの会員五名(加藤廣行氏、韓喜徳氏、片岡伸氏、本間義人氏、近村沙耶氏)による自作詩の朗読発表が行われた。
また、千葉県詩人クラブが毎年発行している千葉県詩集が、第五十集に到達した。これを記念して、第一集から千葉県詩集に参加してこられた六名の詩人の代表ということで、高安義郎氏と荒井愛子氏に小講演をお願いした。
今後とも、県内の先達詩人たちの積み重ねてきてくれた歴史を生かし、活発な活動を継続・発展させていきたい。(文責 秋元炯)
栃木県現代詩人会「研究会」を開催
栃木県現代詩人会では、平成29年12月3日宇都宮市内において、日本現代詩人会及び日本詩人クラブの後援を得て「研究会」を行った。内容は、高山利三郎氏の「教室に詩の授業を」の講演のあと、忘年会を兼ねた意見交換会を実施した。参加者は23名であった。
高山氏は栃木県の出身で、千葉県で教職に従事し定年退職後の現在は、小中学生などを対象にした「詩の出前授業」に取り組んでいる。以下に講演内容の一端を記す。
詩の登場人物は?情景は?などの設問をもうけ、生徒に考えさせたのち、「登場人物へ詩を書いてあげよう」というようにして書くきっかけを作るという。詩に正解というのはないので思ったことは発言してよい。他の人の意見が自分と同じだったらそうだなあと思う。この二つを約束事として授業を行っているとのこと。生徒が、詩から受けた初めの感想と異なる感想を最終的に持ったとき、生徒の理解が深まったとわかるという。
長年の豊富な経験に基づくわかりやすい講演で、生徒や教職者のみならず、詩を書く我々にとっても大いに参考となるものであった。(栃木県現代詩人会 草薙定)