この会は日本の詩人の権益を団体的に守り、現代詩の普及発展のために協力し、国際的活動を推進し、詩人相互の親睦をはかることを目的としています。
八木幹夫会長
公益信託代表
以倉紘平
第72回H氏賞
うるしやま千尋
第40回現代詩人賞
倉橋健一
投稿数424作、投稿者219人。多くの方にご投稿いただきありがとうございました。詩投稿第27期(10-12月)の選評および入選作をご紹介いたします。
またトップページに入選作を何回かに分けて、縦書き表示にて順次公開していきます。
- 【わたしたちはロシア・プーチン大統領に起因する不条理に反対し、ウクライナの人々の安全と平和を 強く望んでいます。──日本現代詩人会HP運営委員会】
- 【速報】2023年度第73回H氏賞・第41回現代詩人賞受賞詩集が決定!(詳細はこちら)
- 【告知】2023年3月18日(土)に国際交流・台湾を開催します。(後日、YouTubeでも公開)
- 【告知】2023年5月27(土),28日(日)に「現代詩ゼミナールinぐんま」を開催します。(詳細はこちら)
- 【子どもへの詩の普及】「震災・子どもの詩『悲しみ、痛み』をときはなす② ——中学生のケース」清岳こう(2023/02.23)
- HP現代詩投稿欄 第26期選考結果・選評を発表しました。
- 【日本現代詩人会全会員名一覧】
◆第73回H氏賞
受賞詩集 『エリカについて』(左右社)
受賞者 小野絵里華
受賞者プロフィール
1984年 東京都生
東京大学大学院総合文化研究科 博士課程修了
2010年 ユリイカの新人としてデビュー
2022年 エルスール新人賞を受賞。
主な著書『エリカについて』(左右社2022年)
『1Q84スタディーズ』(共著 若草書房2010年)
◆第41回現代詩人賞
受賞詩集 『綵歌』(ふらんす堂)
受賞者 河津聖恵
受賞者プロフィール
1961年東京都生まれ、京都在住。
京都大学文学部独文学科卒業。
『夏の終わり』(第9回歴程新鋭賞)、『アリア、この夜の裸体のために』 (第53回H氏賞)、
詩論集『ルリアンスー他者と共にある詩』 『「毒虫」詩論序説―声と声なき声のはざまで』(第21回日本詩人 クラブ詩界賞)
◆授賞式 2023年6月4日(日) 「日本の詩祭2023」
(私学会館アルカディア市ヶ谷にて)
【第73回H氏賞候補詩集決定】
二〇二三年二月四日(土)早稲田奉仕園で開票理事会を実施し、その後、第1次選考委員会において、次の通り第73回H氏賞候補詩集が決定しました。
1桑田今日子『ヘビと隊長』(詩遊社)10票
2北島理恵子『分水』(版木舎)9票
2小篠真琴『へいたんな丘に立ち』(文化企画アオサギ)9票
4鹿又夏実『点のないハハ』(書肆侃侃房)8票
4望月遊馬『燃える庭、こわばる川』(思潮社)8票
6篠崎フクシ『二月のトレランス』(土曜美術社出版販売)7票
6竹中優子『冬が終わるとき』(思潮社)7票
8鎌田尚美『持ち重り』(思潮社)6票
〈選考委員会推薦候補詩集〉
小野絵里華『エリカについて』(左右社)
中尾一郎『猫町diary』(土曜美術社出版販売)
夏野雨『じゃんけんをしながら渡る歩道橋がいちばん好きだ』(私家版)
以上、全十一冊が候補詩集に決定。
〈次点〉
草野理恵子『有毒植物詩図鑑』5票
佐野亜利亜『子犬は跳ねて空の色に溶けた』5票
中尾一郎『猫町diary』5票
本間雪衣『命名』5票
花潜 幸『初めあなたはわたしの先に立ち』5票
【第73回H氏賞選考委員】(*は理事)
◎広瀬大志(選考委員長)、坂多瑩子、
清野裕子、照井良平、*中田紀子、
山本純子、若宮明彦
※投票総数301 有効票237
白票55 無効票9
【投票管理委員】田井淑江 森雪拾
◆第2次選考委員会 受賞詩集決定
二〇二三年三月四日(土)
午後一時から五時(予定)
早稲田奉仕園セミナーハウス
二〇二三年二月四日(土)早稲田奉仕園で開票理事会を実施し、その後、第1次選考委員会において、次の通り第41回現代詩人賞候補詩集が決定しました。
1北畑光男『背の川』(思潮社)23票
2岡隆夫『アレクサンドロス王とイチジク』(砂子屋書房)17票
2瀬崎祐『水分れ、そして水隠れ』(思潮社)17票
4江口節『水差しの水』(編集工房ノア)11票
5石毛拓郎『ガリバーの牛に』(紫陽社)8票
5佐相憲一『サスペンス』(文化企画アオサギ)8票
7相沢正一郎『テーブルのあしを洗っている葡萄酒色の海が……』(砂子屋書房)7票
7河津聖恵『綵歌』(ふらんす堂)7票
7齋藤恵美子『雪塚』(思潮社)7票
7中谷順子『缶蹴り』(土曜美術社出版販売)7票
〈選考委員会推薦〉
大橋政人『反マトリョーシカ宣言』(思潮社)
八重洋一郎『転変・全方位クライシス』(コールサック社)
以上、全十二冊が候補詩集に決定。
(※山田兼士『冥府の朝』(澪標)7票。山田兼士氏は二〇二二年十二月六日にご逝去され、候補詩集から除かせて頂きます。詳細は付記)
〈次点〉
大橋政人『反マトリョーシカ宣言』6票
安藤元雄『惠以子抄』6票
中原道夫『空』6票
山本博道『夜のバザール』6票
【第41回現代詩人賞選考委員】(*理事)
◎朝倉宏哉(選考委員長)、伊藤悠子、
斎藤恵子、高貝弘也、*中井ひさ子、
橋浦洋志、龍 秀美
【投票管理委員】
田井淑江、森 雪拾
投票総数301票 白票25票 無効票7票
有効票269票
◆第2次選考委員会
二〇二三年三月四日(土)
午後一時~五時(予定)受賞詩集の決定
早稲田奉仕園セミナーハウス
【付記】山田兼士氏は、二〇二二年十二月六日にご逝去され、開票理事会の時点で物故が確認されました。候補詩集になった場合、ご本人の受諾署名などの手続きができませんため、開票結果の記録にとどめ、候補詩集から外させて頂くことを理事会で承認し、第一次選考委員会でも合意されました。
日本の詩祭2022・あいさつ・贈呈式(前半)
「詩投稿 第27期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。
田口登「愛のひと」
その人は 私を愛してくれた
言葉の使い方が分からない私に 話しかけてくれた
家族でない私と家族になろうとしてくれた
人と人との繋がりとは何か 身を以て教えてくれた
その人は 私の言葉に耳を傾けた
一緒に山を登り 映画を観た
春ののどけさの中で幸せだったはずなのに
私はその時 何か不安で
この人は自分の本当の姿を見られないのだ
だから愛してくれるのだと思っていた
その人は私の部屋へ来たが
その気のない私を見て
ごちゃごちゃの台所を静かに片付けてくれた
今思えば それは
たしかに愛だった
あの時の私は
病に侵され ただただ不安で
自分の不安を 押し付けて
なにも見えては いなかった
一緒に和食を食べ 桜を見た
神社に行き レストランで喋った
今思えばそれは
たしかに愛だった
恋愛とは一時の幻惑だと 言う人もいる
だとしても この陽だまりのような思い出を消せる力を
その言葉は 持っていない
千尋さん 短い間だったけどありがとうございます
そう言って明日を 生きる糧にできるのだ
河上類「くちなわ」
月のやけに黄色い夜だった 冷蔵庫のうらに潜り込んだ 尾のない獣 緑の眼 それはくちなわではなかった 小刻みにふるえ 眼をしばたかせ おまえ この背骨を抜いてくれないか と言う 頼まれてわたしは おそらくは尾があったであろう地点から 背骨をゆっくり引き抜くと あいつはちょうど 脱皮のような格好で肩をよじらせて 細い涙をながし ときおり冷たい金属音をひきずって そしてあいつは 呼ばなくてもよいものを呼んだのだった
白い壁面に掛けられている絵画 それが徐々に傾いてゆくのは 時間の経過に伴って ではなく わたしたちの記憶の劣化に伴って である 仮に ほどかれた時間が くちなわの形をしていたとしても やはり第三頸椎を すみやかに組み換える必要があった 染色体のN番目をこちらへよこしてほしい そうだ それはヒストンか? ちがう その後ろ手でNを 慎重に押し倒して引き伸ばしていくときに 平均台の向こう側から半影を引きずって現れるのは くちなわではない それはくちなわではないのだが 徐々に膨らんでいく色調 破裂しない風洞 それはくちなわではないから 大丈夫 破裂しない 破裂しない
φ という単音のなかでいつまで眼を回しているのだ 過日からうっすらと狼煙が上がり それは蛋白質のするどい腐臭がしている 部屋の内側へ向かって 半開きになった扉の蝶番《テフツガイ》 それはいま この椅子から確認することはできないのだが 幾度も検算された量の火薬でもって 局所的に当該座標を破壊する算段なのだろう 想定された破断面が 斜め後方へ向かって長く眦を曳いている 床の暗いところでは 開放骨折のあとが光っているばかりで いまだ点火の合図は送られてこないのだ
厳冬の踊り場へつづく縄ばしごを 慎重に下ろしていくときに 網膜に流入してくる一連の映像 それが徐々に青みを増していくのは 視神経に何かが絡みついている証左だろうか いま思えば それはくちなわであったのかもしれないが (思い出して欲しい くちなわの典型的特徴を) しかしその正体を確かめることは もうできないのだ 引き出しの奥で息をひそめている上製本は いくつもの落丁を見落とされて 何年と開かれることはなく その横で 首筋にそっと手を当ててみるとやはり 頸椎の数がひとつ合わないのだ

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