日本現代詩人会とは

この会は日本の詩人の権益を団体的に守り、現代詩の普及発展のために協力し、国際的活動を推進し、詩人相互の親睦をはかることを目的としています。


  • 郷原宏会長

  • 公益信託代表
    以倉紘平

  • 第74回H氏賞
    尾久守侑

  • 第42回現代詩人賞
    粕谷栄市

詩投稿結果発表

投稿数550作、投稿者300人。多くの方にご投稿いただきありがとうございました。詩投稿欄第33期(4-6月)の選評および入選作をご紹介いたします。
またトップページに入選作を何回かに分けて、縦書き表示にて順次公開していきます。

詩投稿

H氏賞受賞者や日本現代詩人会の会員たちが入選作を選び選評いたします。

1期一人3篇までの投稿で、3ヶ月毎に選考し、入選作を選評とともに公開します。

第32期~35期選者(2024.1~2024.12)
・うるし山千尋

・浜江順子
・雪柳あうこ

詳しくは投稿規定をご参照ください。皆様のご投稿をお待ちします。

【速報】
◆第74回H氏賞・第42回現代詩人賞決定のお知らせ

 2024年3月2日(土)午後1時から、東京都・早稲田奉仕園セミナーハウスにおいて、第2次選考委員会が開かれました。詩壇の芥川賞とも呼ばれるH氏賞と、中堅以上の詩人に贈られる現代詩人賞が決定いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。なお、授賞式は6月2日(日)私学会館アルカディア市ヶ谷にて開催される「日本の詩祭2024」にて挙行される予定となっております。何卒よろしくお願い申し上げます。

◆2024年度 第74回H氏賞(賞金50万円及び記念品)
●受賞詩集『Uncovered Therapy』(思潮社)
●受賞者(尾久守侑(おぎゅうかみゆ))
●受賞者プロフィール
1989年5月14日 東京都生まれ、東京都在住。
慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了。
詩集 2019年『国境とJK』(思潮社)を上梓。その後、『ASAPさみしくないよ』『悪意Q47』(第9回エルスール財団新人賞受賞)。
詩集の他に、学術書として、『偽者論』(金原出版)、『器質か心因か』(中外医学社)他。

<第74回H氏賞選考委員> ◎上手宰(選考委員長)、富沢智、峯澤典子、中本道代、
池田順子、藤田晴央、青木由弥子(理事)

************************************

◆2024年度 第42回現代詩人賞(賞金50万円及び記念品)
●受賞詩集『楽園』(思潮社)
●受賞者(粕谷栄市)
●受賞者プロフィール
1934年11月9日 茨城県古河市生まれ。現在、茨城県古河市在住。89歳。
早大卒。「ロシナンテ」「地球」「鬼」「歴程」同人を経て、現在、「森羅」同人。
詩集『世界の構造』『悪霊』『化体』『転落』『鄙唄』『遠い川』。

<第42回現代詩人賞選考委員> ◎田村雅之(選考委員長)、岡野絵里子、廿楽順治、
                石田瑞穂、小林弘明、鈴木東海子、春木節子(理事)

【速報】H氏賞、現代詩人賞候補詩集決定

 2月3日11時より早稲田奉仕園(東京都新宿区)で開票理事会が、宮田直哉、福田恒昭各投票管理委員の立会いの下に開かれました。その結果、上位8位までの詩集を候補詩集として、16時より行われた各選考委員会に申し送りがなされました。
 また、H氏賞と現代詩人賞の選考委員会では、委員会推薦として各3冊の詩集が選ばれました。結果を以下に記します。

  ■第74回H氏賞候補詩集
佐峰 存『雲の名前』       22票
井嶋りゅう『影』         14票
小川三郎『忘れられるためのメソッド』
               6票
玄原冬子『福音』         6票
水嶋きょうこ『グラス・ランド』  6票
麻生秀顕『パルスと円環』     5票
深町秋乃『柔らかい水面』     5票
根橋麻利『川辺の響き』      4票
野口やよい『星月夜』       4票
山田リオ『ときのおわり』     4票
尾久守侑『Uncovered Therapy』
              委員会推薦
嘉陽安之『朝をつくる』   委員会推薦
藤本哲明『attoiumani_nizi』
              委員会推薦

■第42回現代詩人賞候補詩集
こたきこなみ『ひとがた彷徨』   13票
粕谷栄市『楽園』         11票
水島美津江『更地』        11票
麻生直子『アイアイ・コンテーラ』 10票
硲 杏子『残照・その後』     10票
松岡政則『ぢべたくちべた』    10票
上手 宰『二の舞』        8票
佐々木洋一『でんげん』      8票
白井知子『ヴォルガ残照』     8票
荒川洋治『真珠』      委員会推薦
岩佐なを『たんぽぽ』    委員会推薦
広瀬大志『毒猫』      委員会推薦

 以上です。3月2日㈯に、早稲田奉仕園で行われる第2次選考委員会において、受賞詩集が決定されます。

■第74回H氏賞選考委員
池田順子、上手宰(委員長)、富沢智、中本道代、藤田晴央、峯澤典子、青木由弥子

■第42回現代詩人賞選考委員
石田瑞穂、岡野絵里子、小林弘明、鈴木東海子、田村雅之(委員長)、廿楽順治、春木節子

■投票管理委員
宮田直哉、福田恒昭

■詩集賞担当理事
渡辺めぐみ

(2024・02・06)

【速報】詩集賞選考委員が決定
 
 11月16日の第4回理事会において、第74回H氏賞と、第42回現代詩人賞の選考委員が決定しました。
 両賞とも、2023年2月3日の第1次選考委員会で候補詩集が推挙され、3月2日の第2次選考委員会で授賞詩集を決定します。

■第74回H氏賞選考委員
 池田順子、上手宰、富沢智、中本道代、
 藤田晴央、峯澤典子、青木由弥子

■第42回現代詩人賞選考委員
 石田瑞穂、岡野絵里子、小林弘明、
 鈴木東海子、田村雅之、廿楽順治、
 春木節子

■投票管理委員

 宮田直哉、福田恒昭

■詩集賞担当理事
 渡辺めぐみ

 対象詩集は2023年1月1日から12月31日までに発行されたことが奥付にあるもの。日本現代詩人会会員全員の投票による各上位8詩集と、選考委員会の推薦による各3冊以内の詩集が候補詩集となります。

 (2023・12・20)

 8月26日の2023年度総会において、新理事(任期2年)が承認され、9月21日の第2回理事会で次のとおり、新役員が決定しました。
《会 長》
 郷原  宏
《理事長》
 塚本 敏雄(名簿・HP委員)
《副理事長》
 杉本真維子(詩祭・国際交流)
《理 事》
 山田 隆昭(総務・慶弔)
 秋 亜綺羅(総務・HP・IT)
 野村喜和夫(総務・国際交流)
 根本 正午(一般会計・HP・IT)
 青木由弥子(年会費)
 松尾真由美(詩祭・冊子)
 中島 悦子(子ども・詩祭・冊子)
 渡辺めぐみ(詩集賞・入会)
 浜田  優(会報・名簿・入会)
 広瀬 大志(入会・ゼミナール)
 春木 節子(ゼミナール・入会)
 沢村 俊輔(名簿・記録・入会)
《監 事》
 宮田 直哉
 鹿又 夏実
《HP運営委員》
 光冨 幾耶
《詩集賞・公益信託代表》
 以倉 紘平

日本の詩祭2024第Ⅰ部 贈呈式・先達詩人の顕彰・詩朗読

「詩投稿 第33期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。

熊倉ミハイ「またぐ朝」

夢の中で人を殺してしまった
朝、目が覚めて
急いで身支度をする
自首しなければならない
いや、まずは通報をするべきか
どちらの電話で通報するか
夢の中の警察は
現場の証拠を現実と共有できるものなのか
考えていても仕方ない
電車に乗り
携帯を耳に当て目を瞑る
すると
どうされましたかと
二人の警官がほら穴から駆けてきた
私は森でうつぶせに倒れた彼女を見せた
凶器はどこですか
凶器は
この
胸いっぱいの
不安です
警官は
森をため息で包んだ
死体も優しさに包んだ
実は
僕たちは
このまま天使にでもなろうと思うんです
そうですか
どうぞご勝手にと
言いたいがそれは困る

目を開ける
警察署のある駅を過ぎていた
目を閉じる

私は何の罪に問われるか
二人の天使が
首を傾げる

 

吉岡幸一「鈴木さんは滑る」

 児童公園のすべり台を今日も鈴木さんは滑っている。午前七時になるとやってきて、子供のいない公園のすべり台を毎日十回滑っている。すべり台は鉄製で、手すり付きの急な階段を二メートル上ると、約四十五度の尻をつけて滑るための斜面があり、幅は人一人が滑れるほどしかない。すべり台は冬になれば触れる手が凍るほど冷たいが、夏になれば触れる手が焼けるほど熱い。そして今は夏だが、早朝の時間はまだ鉄もさほど熱くなく、温度を気にすることなく滑ることができる。
 鈴木さんはとても優雅に滑る。まるで羽の生えた天使が遊ぶように軽やかな身振りで滑っていく。もしくは初恋の人がほほ笑みを浮かべながらキスをしてくれるような素振りで滑っていく。早朝公園にやってきて鈴木さんを観た人は皆息を飲む。大人の女性がなぜ一人ですべり台を滑っているのかと考える前に、現実ではない何か尊いものを見たような気持ちになり、これまで生きてきた人生を花束で飾られたように目を輝かせ、気づけば手を合わせている。
 きっちり十回鈴木さんは滑る。九回でも十一回でもない。早朝のジョギングに来た人やチワワ犬の散歩に来た人などがすべり台を滑る鈴木さんを見て首を傾げるが、なぜ滑っているのかと尋ねる人はいない。それは鈴木さんが何か神聖な儀式をしているようであり、それを邪魔してはいけないと考えるからだと思われる。例えば神に捧げる舞踏をしているような、悟を開こうとする修行僧のような、そんな雰囲気が鈴木さんにはあり、それを侵すことはできないと考えてしまうからである。
 鈴木さんは公園に来るとすぐにすべり台に向かい、すぐに滑りはじめ、滑り終えるとすぐに帰って行く。どこから来て、どこに帰って行くのかわからない。毎日規則正し午前七時に来て、午前七時十分には帰っていく。雨の日も風が強い日も光化学スモッグが発生している日も関係なくやって来る。何のためにそんなことをしているのか。何かの願掛けをしているのか。病気の母親の回復を願ってしているのか、何かの資格取得試験の合格を祈ってしているのか、そんなことはいくら考えてもわからない。ただ鈴木さんを眺めていると、そんなことはどうでも良いように思われてくる。滑るために滑っていると言われてもそれが真実のような気がしてくる。
 ある日射しの強い午前七時、いつものようにやってきた鈴木さんはすべり台を滑りはじめる。どうしたことかいつもはきっちり十回滑るのだが、この日に限って十一回滑ってしまう。暑さに頭をやられ数え間違ったのか。もし九回なら後一回足せばいいだけなのだが、一度滑った数は減らすことができない。鈴木さんは太陽を恨めしそうに見上げ、膝を折り、大粒の涙を流し始める。涙はダイヤモンドの粒になり落ちてくる。涙は真空の泡になり空中を漂う。涙は悔恨の鎖となり繋がり地面に突き刺さっていく。
 鈴木さんは翌日から公園に来なくなる。そして二度と姿を見るのはいない。鈴木さんが現実に存在したのか、夢だったのか、幻だったのか、自信をもって断言できる人はいない。鈴木さんの本当の名前を知る人はいない。毎日チワワ犬を散歩させている人が、毎日ジョギングをしている人と話したとき、彼女のことを鈴木さんと呼び、それが定着したのである。なぜ鈴木さんと呼んでしまったのか、チワワ犬を散歩させている人もわからないと言う。ただ鈴木さんという名が彼女を見ていると思い浮かんだのだそうだ。なんということはない理由である。
 午前七時、すべり台に人はいない。ただかつていた人の影だけが優雅に滑っている。公園の樹々は木漏れ日をつくり、風は樹の葉をゆらし、人々は公園でさまざまな一時を過ごす。かつて鈴木さんがいたことなど人々の記憶から無くなっている。ただ影だけが毎日十回すべり台を滑り続けているが、それは誰にも気づかれることはない。影は水を入れて膨れた風船に穴を開けると弾けるようにすべり台を濡らす。影は影を生む対象を離れ、光そのものから生れるように輝き、すべり台に染みこんでいく。鈴木さんは影。影は鈴木さん。
 ある日の午前七時。赤ん坊を抱いた母親がすべり台を滑っている。赤ん坊の影は孔雀の羽のようにとても長く華やかで美しい。

 

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