日本現代詩人会とは

この会は日本の詩人の権益を団体的に守り、現代詩の普及発展のために協力し、国際的活動を推進し、詩人相互の親睦をはかることを目的としています。


  • 八木幹夫会長

  • 公益信託代表
    以倉紘平

  • 第71回H氏賞
    石松佳

  • 第39回現代詩人賞
    鈴木ユリイカ

詩投稿結果発表

投稿数425作、投稿者258人。多くの方にご投稿いただきありがとうございました。詩投稿第24期(1-3月)の選評および入選作をご紹介いたします。
またトップページに入選作を何回かに分けて、縦書き表示にて順次公開していきます。

詩投稿

H氏賞受賞者や日本現代詩人会の会員たちが入選作を選び選評いたします。

1期一人3篇までの投稿で、3ヶ月毎に選考し、入選作を選評とともに公開します。

第24期~27期選者(2022.1~2022.12)
・山田隆昭氏

・塚本敏雄氏
・草間小鳥子氏

詳しくは投稿規定をご参照ください。皆様のご投稿をお待ちします。

■第72回H氏賞、第40回現代詩人賞の決定
2022年3月5日第2次選委員会により次の通り受賞詩集が決定しました。

◆第72回H氏賞決定
●受賞詩集『ライトゲージ』(七月堂)
●受賞者 うるし山千尋(うるしやま ちひろ)
●受賞者プロフィール 1976年9月12日生。
鹿児島県出身。宮崎大学卒。
「半笑いの騎士たち」他十四編で南日本文学賞(2007年)
「ライトゲージ」他十四編で南日本文学賞(2021年)。
詩集『猫を拾えば』(ジャプラン 2012年)
『時間になりたい』(ジャプラン2016年)。
【第72回H氏賞選考委員】
◎古屋久昭(選考委員長)、石下典子、
伊武トーマ、清岳こう、草野早苗、
土屋智宏、冨岡悦子
【第72回H氏賞候補詩集】
〈会員投票候補詩集〉
①松井ひろか『十六歳、未明の接岸』
(七月堂)20票
②浦歌無子『光る背骨』(七月堂)10票
③桑田 窓『52時70分まで待って』
(思潮社)8票
③雪柳あうこ『追伸、この先の地平より』
(土曜美術社出版販売)8票
⑤篠崎フクシ『ビューグルがなる』
(土曜美術社出版販売)7票
⑥長嶺幸子『Aサインバー』(詩遊社)5票
〈選考委員会推薦詩集〉
うるし山千尋『ライトゲージ』(七月堂)
小林坩堝『小松川叙景』(共和国)
村岡由梨『眠れる花』(書肆山田)
★「日本の詩祭2022」(2022年5月29日アルカディア市ヶ谷)にて授賞式を予定しています。


◆第40回現代詩人賞決定
●受賞詩集『無限抱擁』(思潮社)
●受賞者 倉橋健一
●受賞者プロフィール 1934年8月1日生。
京都市出身 大阪府立吹田高等学校卒。
詩誌「山河」「白鯨」「火手」を経て、現在「イリプス」同人。
詩集に『寒い朝』『化身』『失せる故郷』他。
詩論『深層の抒情―宮澤賢治と中原中也』、『詩が円熟するとき―詩的60年代還流』。
評伝『辻潤への愛―小島キヨの生涯』他。

【第40回現代詩人賞選考委員】
◎秋山公哉(選考委員長)、新井高子、
伊藤芳博、小林稔、鈴木ユリイカ、
高良勉、中島悦子

【第40回現代詩人賞候補詩集】
〈会員投票候補詩集〉
①新延拳『経験の定義あるいは指の痛み』
(書肆山田)15票
②川中子義勝『ふたつの世界』(土曜美術社出版販売)14票
②草野信子『持ちもの』(ジャンクション・ハーベスト)14票
④秋亜綺羅『十二歳の少年は十七歳になった』(思潮社)12票
④清岳こう『雲また雲』(思潮社)12票
⑥中上哲夫『川の名前、その他の詩篇2011~2021』(花梨社)9票
⑦和田まさ子『よろこびの日』(思潮社)7票
⑧倉橋健一『無限抱擁』(思潮社)6票
⑧下川敬明『暗黒と純白の讃歌』(待望社)6票
⑧田村雅之『瑞鳥』(砂子屋書房)6票

〈選考委員会推薦詩集〉
管啓次郎『PARADISE TEMPLE』(Tombac)
田中庸介『ぴんくの砂袋』(思潮社)
日原正彦『はなやかな追伸』(ふたば工房)

★「日本の詩祭2022」(2022年5月29日アルカディア市ヶ谷)にて授賞式を予定しています。




日本の詩祭2019・詩集賞の朗読

「詩投稿 第24期」入選作品紹介
Topページに入選作を順次公開します。

佐名田纓>「いやいや映画に出かけている」


何か重大な出来事出くわし
それから過去の文章を読み返すとき
ついさっき得たはずの学びより、ずっと進んだ話を
過去の自分が繰り広げていること驚くことがある

それは過去の自分が既何かを知っいたわけではなく
何も知らないの、まるで何かを知っているかのよう
文章は容易く書かれ、読まれるということを意味しているようみえた

は浪費癖がある
財布のなか金をいれおくとすぐ使っしまうから
出来る限り金を入れないようている
今日だっ図書館から帰りながら
もう六冊も借りきたの、書店で二冊も買っしまった
五千円札が二百円なっ、その二百円で電車乗った
子供のころ欲しい物が買えなかった反動だと思っきた
でもよく考えると、子供のころの自分はすで
浪費取り憑かれいたんだ

恋をするのは簡単だ
人は誰もが恋をするの躊躇わない
人は恋しやすいの、愛対しはいつでも逃げ腰だ
愛とは、苦しみや億劫さから始まる関係のこと
恋は、自分を愛さないため生まれるけれど
愛は、自分を愛するため生まれる
自分を愛さないことはたやすい
自分を愛することは難しい

人生は長い
まるで生きるためとは違った何かのため、時間が用意されているみたい
あるいは、同じことを何度も繰り返すより他、生きるための方法が見つからないみたい

誰かが ベンチ寝転んでいる姿
目を覚ました 朝の白い光の艷やかさ
この世は価値で満ちている
誰もそれを拾いあげようとしない
いよいよ僕が拾い上げようとしたとき
僕は無力さというものを知ったのだ
それを拾いあげることができない
僕のというよりも
誰もの無力さを

今僕は、いやいや映画に出かけている
どうしもその映画を見ようと思っいた、過去の自分を救済するため
だから上映終了するギリギリの日付なるまで待っ
その日が来しまったから いやいや出かけているのだ
その映画は七時間十八分もある
僕は寝不足で電車揺られながら 少しの吐き気さえ覚えている
僕は今
今というものを見ている
僕は今
僕は今ここにいる
ということを見ている

ちょうど六年前の今日、大地震があった日
僕はある歌手の歌を聴き行った

その歌手は
ちょうど四年前の今日、大地震があった
という歌を歌っくれた



岩佐聡「原色の幼なじみ」


そうして古い図書室には、開けたら閉まらない窓があり、鍵がかかる戸棚にしまわれた手記には、今はくすんでいる人称代名詞がおかれている。その窓しか知らない風は、一人が心地よい幼なじみの耳に触れることがあった。ふとわたし自身が、同じ場所に居ること自体、ある一定の暴力かもしれないと思ってしまう。卵一個分ほどの大きさの心地よさが、わたしにあるはずがなかったから。

幼なじみが、小さな生物を解剖するのをみたことがある。原色を、ゆるめていくという意思に通じていた。かつてわたしたちは、車に入り込んだ蝶を、別の遠くの海辺で放したことがあった。蝶は、一刻も早くという具合に体を投げ出して、まるで他人の羽のようにぎこちなく羽ばたきだす。故郷よりも、早くに降りだす、雪をすでに感覚しながら。夕方にならぶ、悪意のない風の疑問符。停留所の、休日だけ異なる時刻表は、糊が剥がれ捲れていて、昨日のバスが来る時間までの、りんご、から始まるしりとりが何気ない。

鼓笛隊に選ばれた幼なじみが制服を、洗濯した日を憶えている。その干された襟もとに、たくさんの幼児を残していたし、胸の刺繍にはこれからいっぱいに吸い込むであろう酸素の色を染み込ませていたから。皆、薄荷の飴をカラい、と言った過去がある。いつかの水曜日にした放尿が、体の芯から暖かった。そして尿はあまりに勢いがあり、寂しくてたまらなくなるから、幼なじみには私の傍らから離れないでほしかった。たしかな二人称になって流れる尿。ほんの一時のあいだあらわれる水たまり。そこに唾をはくか迷いながら、ふいに地図の詳細を歩幅でもたしかめたくなって、余白を越えてでも想像の色彩をたどりたいと思ったそのとき、幼なじみからは同じ緯度での共通の尿意、もう感じてくれることはないだろうとわかってしまう。

目が退化した深海魚のように幼なじみは、わたしを面影だけの空白として、心の部分に据えようとしていた。熟した果実に入り込んで、手を繋げる人を探したらそこは、左利きのわたしで溢れてしまう。ト音記号をはじめて書けたときの記憶がない。幼なじみは笛を、斜めにして溜まった唾液を逃がそうとしていた。息継ぎを小さくしながら、それはとても律儀な行為にみえた。楽器の練習は、どこまでいっても連続する倒置法なのかもしれない。幼なじみは、目が悪い人の気持ちがわからない、という純粋な精神に守られていた。

絵日記にもならない言葉が浮遊する放課後、柚子を枝ごともらって、ともに帰ったことがある。果実と枝を掴む手の距離をはかりながら、いつからか幼なじみの口許から放たれた私語と、わたし自身との交わらない時間が丁寧に計られていく。まだきっと二人、おなじく乳歯が抜け落ちる感覚を引き連れている、と思っていた。構図に入りこんだわたし自身の、何色かを省こうとする写生大会の絵。そんな水彩画の描かれ方を間近にすると、まだ新しいと思えた色彩の修飾語が、わたしのなかから一つ消えようとしていた。

研究活動

詩界ニュース
詩界ニュース (2022年3月25日受まで)最終更新日 2022/5/12
催し・イベント
会報アーカイブ最終更新日 2022/6/3

日本現代詩人会刊行本


  • 日本現代詩人会/七〇周年記念アンソロジー

  • 国際交流ゼミナール

  • 現代詩2021

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