詩投稿結果発表

投稿数289作品。投稿者187人。多くの方にご投稿いただきありがとうございました。詩投稿第9期(4-6月)の選評および入選作をご紹介いたします。

詩投稿

H氏賞受賞者や日本現代詩人会の会員たちが詩編のアドバイスをいたします。

1期一人3篇までの投稿で、3ヶ月毎に選考し、入選作を選評とともに公開します。

第9期選者(4月〜6月)
・金井雄二氏

金井雄二氏
・中島悦子氏
中島悦子氏

詳しくは投稿規定をご参照ください。皆様のご投稿をお待ちします。

日本現代詩人会とは

この会は日本の詩人の権益を団体的に守り、現代詩の普及発展のために協力し、国際的活動を推進し、詩人相互の親睦をはかることを目的としています。

日本の詩祭2017・詩集賞の朗読

「詩投稿 第10期」入選作品紹介
Topページに入選作の中から公開します。

声――鎌田尚美

 

読み終えた川端康成の『雪国』を小判型ビニールバッグに入れ宇都宮線に乗った
持ち手の穴に手首を入れるときつく親指以外の四本を入れたり二本指で持ったりして駒子の重さを量っていた
車窓から夕陽が見えると主人公の島村が葉子を認めた時刻は今くらいだろうかと思ったりした
指が覚えている女と眼にともし火をつけていた女の入った袋を振り子のように大きく揺らし小さく揺らし指の腹にかかる感触を楽しんでいた
大宮駅で降りると強い風が吹いてきてビニールのバッグはかさかさと音をたてた
左の人差し指いっぽんに提げたバッグを胸の辺りまで高く持ち上げ
ことさらに風に当てるとポリエチレンフィルムの内側で震え
駒子は帰らないでと云い、
葉子は連れて行って、
とわたしに縋ってきた
自ら進んで島村に身を投げた駒子、いつか気が狂れるとされる葉子、
がわたしは急に憐れになって
弄びすぎたと知り人差し指をとおしてわたしは島村じゃないよと語りかけバッグを後ろ手に持ち強風からよけてやろうとしたとき

 

おんなを少しお返しください、と声がした

 

9番線のプラット・フォウムで聞こえたその声は駒子のものでも葉子のものでもなかった

ライター――結城 涼

 

もしもライターをつけて 
その炎が消えると同時に僕の命も消えたなら
僕はそれを灯すだろうか

 

コンビニに売られている

100円ぽっちのそれに命が委ねられたとしたら
僕はそれを灯すだろうか

 

片手で押すには少し力が要る

 

でもその力は命を一つ失くすにはあまりに軽い

拳銃の引き金よりも
もっと軽い

 

痛くもない

ただ消えるだけ

 

煙草を吸うように

この世からいなくなれる

 

きっと僕はそれを灯すだろう

 

暗闇に浮かんで弱弱しく揺れる炎を見つめる

 

涙は出ない

 

虚ろなまま

 

消える

 

後悔はない

 

するとしても

 

それは炎が消えた後だ

日本現代詩人会刊行本


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  • 2015現代詩

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