日本現代詩人会とは

この会は日本の詩人の権益を団体的に守り、現代詩の普及発展のために協力し、国際的活動を推進し、詩人相互の親睦をはかることを目的としています。


  • 八木幹夫会長

  • 公益信託代表
    以倉紘平

  • 第72回H氏賞
    うるしやま千尋

  • 第40回現代詩人賞
    倉橋健一

詩投稿結果発表

投稿数323作、投稿者187人。多くの方にご投稿いただきありがとうございました。詩投稿第26期(7-9月)の選評および入選作をご紹介いたします。
またトップページに入選作を何回かに分けて、縦書き表示にて順次公開していきます。

詩投稿

H氏賞受賞者や日本現代詩人会の会員たちが入選作を選び選評いたします。

1期一人3篇までの投稿で、3ヶ月毎に選考し、入選作を選評とともに公開します。

第24期~27期選者(2022.1~2022.12)
・山田隆昭氏

・塚本敏雄氏
・草間小鳥子氏

詳しくは投稿規定をご参照ください。皆様のご投稿をお待ちします。

  • 【わたしたちはロシア・プーチン大統領に起因する不条理に反対し、ウクライナの人々の安全と平和を   強く望んでいます。──日本現代詩人会HP運営委員会】
  • 【会員への連絡】 「2022年度日本現代詩人会総会」は8月27日、アルカディア市ヶ谷において終了いた
     しました。提出議案はすべて承認されました。会員各位のご協力ありがとうございました。
  • 【子どもへの詩の普及】『詩ってむずい? 滋賀大学詩作ワークショップ☆詩人と一緒に詩を書こう』の
     ご紹介
  • 【告知】H氏賞・うるし山千尋詩集、現代詩人賞・倉橋健一詩集に決定!
  • HP現代詩投稿欄 第25期選考結果・選評を発表しました。
  • 2022年第6回現代詩投稿欄新人賞・新人発表!
    【新人賞】浅浦 藻【新人】岡 堯、佐名田纓、シーレ 布施

■第72回H氏賞、第40回現代詩人賞の決定
2022年3月5日第2次選委員会により次の通り受賞詩集が決定しました。

◆第72回H氏賞決定
●受賞詩集『ライトゲージ』(七月堂)
●受賞者 うるし山千尋(うるしやま ちひろ)
●受賞者プロフィール 1976年9月12日生。
鹿児島県出身。宮崎大学卒。
「半笑いの騎士たち」他十四編で南日本文学賞(2007年)
「ライトゲージ」他十四編で南日本文学賞(2021年)。
詩集『猫を拾えば』(ジャプラン 2012年)
『時間になりたい』(ジャプラン2016年)。
【第72回H氏賞選考委員】
◎古屋久昭(選考委員長)、石下典子、
伊武トーマ、清岳こう、草野早苗、
土屋智宏、冨岡悦子
【第72回H氏賞候補詩集】
〈会員投票候補詩集〉
①松井ひろか『十六歳、未明の接岸』
(七月堂)20票
②浦歌無子『光る背骨』(七月堂)10票
③桑田 窓『52時70分まで待って』
(思潮社)8票
③雪柳あうこ『追伸、この先の地平より』
(土曜美術社出版販売)8票
⑤篠崎フクシ『ビューグルがなる』
(土曜美術社出版販売)7票
⑥長嶺幸子『Aサインバー』(詩遊社)5票
〈選考委員会推薦詩集〉
うるし山千尋『ライトゲージ』(七月堂)
小林坩堝『小松川叙景』(共和国)
村岡由梨『眠れる花』(書肆山田)
★「日本の詩祭2022」(2022年5月29日アルカディア市ヶ谷)にて授賞式を予定しています。


◆第40回現代詩人賞決定
●受賞詩集『無限抱擁』(思潮社)
●受賞者 倉橋健一
●受賞者プロフィール 1934年8月1日生。
京都市出身 大阪府立吹田高等学校卒。
詩誌「山河」「白鯨」「火手」を経て、現在「イリプス」同人。
詩集に『寒い朝』『化身』『失せる故郷』他。
詩論『深層の抒情―宮澤賢治と中原中也』、『詩が円熟するとき―詩的60年代還流』。
評伝『辻潤への愛―小島キヨの生涯』他。

【第40回現代詩人賞選考委員】
◎秋山公哉(選考委員長)、新井高子、
伊藤芳博、小林稔、鈴木ユリイカ、
高良勉、中島悦子

【第40回現代詩人賞候補詩集】
〈会員投票候補詩集〉
①新延拳『経験の定義あるいは指の痛み』
(書肆山田)15票
②川中子義勝『ふたつの世界』(土曜美術社出版販売)14票
②草野信子『持ちもの』(ジャンクション・ハーベスト)14票
④秋亜綺羅『十二歳の少年は十七歳になった』(思潮社)12票
④清岳こう『雲また雲』(思潮社)12票
⑥中上哲夫『川の名前、その他の詩篇2011~2021』(花梨社)9票
⑦和田まさ子『よろこびの日』(思潮社)7票
⑧倉橋健一『無限抱擁』(思潮社)6票
⑧下川敬明『暗黒と純白の讃歌』(待望社)6票
⑧田村雅之『瑞鳥』(砂子屋書房)6票

〈選考委員会推薦詩集〉
管啓次郎『PARADISE TEMPLE』(Tombac)
田中庸介『ぴんくの砂袋』(思潮社)
日原正彦『はなやかな追伸』(ふたば工房)

★「日本の詩祭2022」(2022年5月29日アルカディア市ヶ谷)にて授賞式を予定しています。




日本の詩祭2022・あいさつ・贈呈式(前半)

「詩投稿 第26期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。

竹井紫乙「蜘蛛」

 

通勤時間が過ぎ、ほとんど乗客がいない特急列車に乗り合わせたのは一匹の蜘蛛
蜘蛛は静かで動きもデリケートだから
私は車窓のカーテンを引いてしばらく目を閉じた

 

下車した終点の駅にも人は少なく
餅菓子を買いたいけれど商店街はまだ薄暗い
エスプレッソで目を覚まそうと珈琲店へ入る
蜘蛛は静かについてきて古代の案内を申し出てくれた
「今の季節は鹿の毛がいちばん美しいんですよ」
そんな季節があるなんて知らなかった
毎年美しくなれる季節があるなんて
私の毛が生え変わる季節はいつなのだろうか
三年前に生え変わったような気がするけれど
そろそろ古い毛がもわもわしてきているような気が

 

古代には二十年前にも来たことがある もっと前にも何度も
久しぶりの古代はなんだかこざっぱりとしていて
すこし胸がちくりとする感じ とはいえ
建ち並ぶ塀は相変わらず朽ちてしまいそうでいて朽ちず
瓦は壊れそうでいて壊れず 瓦の影はきれいに整列し続けている
「いつでもいつまでも夢を見続けているのですよ」
「皆殺しにされた日のことを残し続けているのですよ」
「剥ぎ取られ彩色された背中の皮を見せ続けているのですよ」

 

祈りは風鈴の音に似ていて 鐘の音は現実を引き戻す音
誰もいない真白な道を蜘蛛と黙って歩けば
両側の道では梅の実がぼろりぼろりと落ちてゆく
道の先には背の高い古代が立っている
立ち続けている
一切を引き受けて
背の高い古代も蜘蛛も泣いたりしない

 

昼食に冷たいそうめんをいただいた
風が抜けるとき古代はそこにいるけれど
にんげんには風鈴を鳴らすことはできない
実のところわたしたちには祈る資格もないのかもしれない
それでも跪くための場所だけはいつまでも朽ちないままで
風鈴の音を待ち続けている

 

「なにしに来たの」と問われれば
「祈りにきたの」と答えるしかなくて
むかしたくさんのひとが殺された場所で
お菓子を食べてお茶を喫む
あちらこちらでお金を落として 頭を垂れて
風鈴の音を待つ

 

蜘蛛は途中で消えてしまった
祈りは風鈴の音に似ていて 鐘の音は現実を引き戻す音
日が暮れてしまう前に祈りの場所は速やかに門を閉ざす
闇は掛け値なしのほんものの闇だから
急いでにんげんだらけの電車に乗ろう


渡辺芳則「ボンネットバス」

 

背高の
雑草に囲まれた
ボンネットバス
風雨にさらされ
錆びついて車輪はない
旧暦の歳月が
隔てる土ぼこりの窓

 

あの人も
そしてあの人も
このバスに乗っていた
うつむくように座り
口ごもる面影に
思わず眼をそらす
閉ざされた過ぎ去る時間

 

このバスに乗り込むには
帰路を捜すには
引き戻され
かつての
バス路線を辿れば
まだ見ぬ古びた街路図に迷い込む
そこは
大勢の死者が行き交う街
ある者は
定刻のバスに乗り込み
バス停に沿って
後方へと運ばれる

 

月も星もない
バスの終点だろうか
歳月が幾重にも
重なる層状の長い斜面
その斜面は何本も
腐食したバス停の標識が
打ち込まれている

酒井花織「選ばれし子供」

 

お母さんがお皿や茶碗をぶん投げる
ガチャンガチャンと食器が割
また始まった

 

「花織、行くわよ」
お母さんはいつものように
ひとしきり暴れた後
幼い私を連れてバス旅行に行く
お父さんもお兄ちゃんもお姉ちゃんも黙って見てるだけ
私は内心得意だった
お母さんに選ばれるのはいつも私
私が一番愛されているんだ

 

夕方までお母さんと私は小旅行をして
何事もなかったように家に帰る
辛抱強く温かく優しく接すれば
いつか改心する
それがお父さんの信念だから
お父さんは文句ひとつ言わず
お帰り と言う

 

選ばれし子供
あの頃の思い出は私をいい気にさせた
お母さんが大好きだった

 

怒った母親の旅先が
自殺の名所と気づくまでは

日本現代詩人会刊行本


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