詩投稿結果発表

投稿数371作品。投稿者238人。多くの方にご投稿いただきありがとうございました。詩投稿第8期(1-3月)の選評および入選作をご紹介いたします。

詩投稿

H氏賞受賞者や日本現代詩人会の会員たちが詩編のアドバイスをいたします。

1期一人3篇までの投稿で、3ヶ月毎に選考し、入選作を選評とともに公開します。

第9期選者(4月〜6月)
・金井雄二氏

金井雄二氏
・中島悦子氏
中島悦子氏

詳しくは投稿規定をご参照ください。皆様のご投稿をお待ちします。

日本現代詩人会とは

この会は日本の詩人の権益を団体的に守り、現代詩の普及発展のために協力し、国際的活動を推進し、詩人相互の親睦をはかることを目的としています。

日本の詩祭2017・詩集賞の朗読

「詩投稿 第8期」入選作品紹介
Topページに入選作の中から公開します。

てまりうた――石渡あおい

 

いちりっとらいらい らっとりっとせ
しんからほけきょうの ぱらいそよ
だるまのめ

 

角ばった顎と短い鼻 挑むようなどんぐり眼
鏡の向うの顔が 母にそっくり と思ったときから
頭を離れない 意味のわからない言葉

 

女学校までの一番幸せだった時期を
長崎で暮らした母が
繰り返し聞かせてくれた てまりうた

 

いさかいの絶えなかった父と母
あなたの顔はお父さんそっくりね と言われるたびに
嫌われているようで悲しかった

 

だるまのめ といって 赤いゴムまりを
エプロンの下にかくして おどけて見せた母を
素直に喜べなくて 横を向いていた

 

一里渡来来 来(迎)っと利(益)っとせ
秦から法華経の パライソよ
達磨の眼

 

仏の教えを歌ったものなのか それとも
仏教を隠れ蓑にしたキリシタンの歌なのか

 

ゴムまりになって
大きなエプロンの下に
隠れてみればよかったと思ってみたりする

ステレオ――橘 麻巳子

 

三日空いたら死ぬと言う婆さまに
母さまは
母さまの姉さまと話し合い
一日おきには会いにいく

 

飼った猫にオーデコロンを振りかけ
鍋を空焚きするあいだ
芝居で観てきたステップで踊るからひと月のガス代はものすごく、

 

気づかなかったと言える距離では
ないよね 車で一〇分

 

被ったものをはがすようにして
背中をさする のち
拭き掃除をする
のち
ひとりで向かう机で
請求書をめくり
ラジオのお悩み相談で(「近くに住むははの事で、
コメンテーターが三人(「いわゆる、
輪唱のように(「共依存になるんですかね、
していると
化粧にけちつけたがる婆さまや
嫁いでもなお すき焼きを届けてくれる婆さまの
重なる像が
あたらしい響きのもとで煮込まれる

 

戦争の時
おイモをたくさん弟にあげたんだって
すこしの美味しいおイモと
交換で
こうやってしか生きられないの
もっといいものがある どこかには
婆さまは
いつもすこしの美味しいおイモを握りしめ

 

おイモを先にやったのか
先におイモを 取り上げたのか
どちらにしたって、
東西東西 浮世平成
こちらのイモは甘いけど

 

口から口へと引き渡される
ひとつの理由は
あちこちおりた記憶の霜を
ひとすじの氷柱に
こわばらせ
踊る婆さまの足を傷つける
だから 

寝てばかりとなり 

 

オーデコロンをかけた猫が
のちに
ステレオにおしっこした話は
おしっこの分
脇道をつくった

みつばち、そらとはな、かやのそとから――発条ねりさす

 

アラビア語で出来たアップルパイだ。
生地にはメソポタミアの文明が練り込んであって、
それを親友のサリーはよく食べるそうだ。
はやおきなくせに。
クリーニングにも出していない、
土の中から起き出したリクルートスーツは。
あいと、あいと、かなしみと、
きぼうと、ゆめが、ひとにぎり。
大きな栞を挟んだのだと、ペットのサリーは言った。
ゆめみのなかで。
シルバーのあめ細工が、窓ガラスにしんしんと降る。
すべって、ころぶ。
したたかな雨垂れのようだ。

 

「こおろぎの
「あさぼらけと
「はなやかな
「にわとりたち
すべてうそか?

 

シュウクリイムの中には、たくさんの
たくさんの、サリー、すてきな言葉たちが
みにくく押し付けあいながら、
クリームの綿にくるまれている。
かわいげに、はかなげに、
そう見える。サリーには。おまえたちも。
「びしゅう
紡ぐ先に、それをあらわすものが
ないとしたら?
まっさらな潮風と
むせかえる空気に
サリーは震えていた
だれも知らない、こころのうちを
しりたいばかりに
ひっそりと伸ばしている、
折り目のついたスカート。
あまいにおいがする。

 

「はしる、とうばと、
「きゃしゃな、うでと、
「ひとめぼれした、
「あめいろの、
ゆめみのなかより。

 

針がねが欲しいと、サリーは言った。
はちみつを舐めたいがために、
サリーは妹のふりをした。
せいぜいと、太陽がふる。
こんこんと、てらされる。
あつくて、いたい、あまい流れを
這いつくばる卑屈さを
おまえたちは覚えている。
とんとんと、
垢の詰まった、手のひらが、
サリーをすてきに着飾った。
押し込まれる流れのさきに、
びしゅうをうかがいながら
うたがっていながら
はばたいていった。

研究活動

詩界ニュース
詩界ニュース(2018年3月20日受まで)最終更新日 2018/5/13
催し・イベント
2018年度総会のご案内最終更新日 2018/8/15

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