日本現代詩人会とは

この会は日本の詩人の権益を団体的に守り、現代詩の普及発展のために協力し、国際的活動を推進し、詩人相互の親睦をはかることを目的としています。


  • 八木幹夫会長

  • 公益信託代表
    以倉紘平

  • 第73回H氏賞
    小野絵里華

  • 第41回現代詩人賞
    河津聖恵

詩投稿結果発表

投稿数429作、投稿者249人。多くの方にご投稿いただきありがとうございました。詩投稿第28期(1-3月)の選評および入選作をご紹介いたします。
またトップページに入選作を何回かに分けて、縦書き表示にて順次公開していきます。

詩投稿

H氏賞受賞者や日本現代詩人会の会員たちが入選作を選び選評いたします。

1期一人3篇までの投稿で、3ヶ月毎に選考し、入選作を選評とともに公開します。

第28期~31期選者(2023.1~2023.12)
・北原千代

・根本正午
・渡辺めぐみ

詳しくは投稿規定をご参照ください。皆様のご投稿をお待ちします。

■2023年度詩集賞決定!
◆第73回H氏賞
受賞詩集 『エリカについて』(左右社)
受賞者 小野絵里華

受賞者プロフィール
1984年 東京都生
東京大学大学院総合文化研究科 博士課程修了
2010年 ユリイカの新人としてデビュー
2022年 エルスール新人賞を受賞。
主な著書『エリカについて』(左右社2022年)
『1Q84スタディーズ』(共著 若草書房2010年)

◆第41回現代詩人賞
受賞詩集 『綵歌』(ふらんす堂)
受賞者 河津聖恵
受賞者プロフィール

1961年東京都生まれ、京都在住。
京都大学文学部独文学科卒業。
『夏の終わり』(第9回歴程新鋭賞)、『アリア、この夜の裸体のために』 (第53回H氏賞)、
詩論集『ルリアンスー他者と共にある詩』 『「毒虫」詩論序説―声と声なき声のはざまで』(第21回日本詩人 クラブ詩界賞)
◆授賞式 2023年6月4日(日) 「日本の詩祭2023」
(私学会館アルカディア市ヶ谷にて)

【第73回H氏賞候補詩集決定】
二〇二三年二月四日(土)早稲田奉仕園で開票理事会を実施し、その後、第1次選考委員会において、次の通り第73回H氏賞候補詩集が決定しました。
1桑田今日子『ヘビと隊長』(詩遊社)10票
2北島理恵子『分水』(版木舎)9票
2小篠真琴『へいたんな丘に立ち』(文化企画アオサギ)9票
4鹿又夏実『点のないハハ』(書肆侃侃房)8票
4望月遊馬『燃える庭、こわばる川』(思潮社)8票
6篠崎フクシ『二月のトレランス』(土曜美術社出版販売)7票
6竹中優子『冬が終わるとき』(思潮社)7票
8鎌田尚美『持ち重り』(思潮社)6票
〈選考委員会推薦候補詩集〉
小野絵里華『エリカについて』(左右社)
中尾一郎『猫町diary』(土曜美術社出版販売)
夏野雨『じゃんけんをしながら渡る歩道橋がいちばん好きだ』(私家版)
以上、全十一冊が候補詩集に決定。
〈次点〉
草野理恵子『有毒植物詩図鑑』5票
佐野亜利亜『子犬は跳ねて空の色に溶けた』5票
中尾一郎『猫町diary』5票
本間雪衣『命名』5票
花潜 幸『初めあなたはわたしの先に立ち』5票
【第73回H氏賞選考委員】(*は理事)
◎広瀬大志(選考委員長)、坂多瑩子、
清野裕子、照井良平、*中田紀子、
山本純子、若宮明彦
※投票総数301 有効票237 
白票55 無効票9 
【投票管理委員】田井淑江 森雪拾
◆第2次選考委員会 受賞詩集決定
二〇二三年三月四日(土)
午後一時から五時(予定)
早稲田奉仕園セミナーハウス

【第41回現代詩人賞候補詩集】
二〇二三年二月四日(土)早稲田奉仕園で開票理事会を実施し、その後、第1次選考委員会において、次の通り第41回現代詩人賞候補詩集が決定しました。
1北畑光男『背の川』(思潮社)23票
2岡隆夫『アレクサンドロス王とイチジク』(砂子屋書房)17票
2瀬崎祐『水分れ、そして水隠れ』(思潮社)17票
4江口節『水差しの水』(編集工房ノア)11票
5石毛拓郎『ガリバーの牛に』(紫陽社)8票
5佐相憲一『サスペンス』(文化企画アオサギ)8票
7相沢正一郎『テーブルのあしを洗っている葡萄酒色の海が……』(砂子屋書房)7票
7河津聖恵『綵歌』(ふらんす堂)7票
7齋藤恵美子『雪塚』(思潮社)7票
7中谷順子『缶蹴り』(土曜美術社出版販売)7票
〈選考委員会推薦〉
大橋政人『反マトリョーシカ宣言』(思潮社)
八重洋一郎『転変・全方位クライシス』(コールサック社)
以上、全十二冊が候補詩集に決定。
(※山田兼士『冥府の朝』(澪標)7票。山田兼士氏は二〇二二年十二月六日にご逝去され、候補詩集から除かせて頂きます。詳細は付記)
〈次点〉
大橋政人『反マトリョーシカ宣言』6票
安藤元雄『惠以子抄』6票
中原道夫『空』6票
山本博道『夜のバザール』6票
【第41回現代詩人賞選考委員】(*理事)
◎朝倉宏哉(選考委員長)、伊藤悠子、
斎藤恵子、高貝弘也、*中井ひさ子、
橋浦洋志、龍 秀美
【投票管理委員】
田井淑江、森 雪拾
投票総数301票 白票25票 無効票7票 
有効票269票 
◆第2次選考委員会 
二〇二三年三月四日(土)
午後一時~五時(予定)受賞詩集の決定
早稲田奉仕園セミナーハウス

【付記】山田兼士氏は、二〇二二年十二月六日にご逝去され、開票理事会の時点で物故が確認されました。候補詩集になった場合、ご本人の受諾署名などの手続きができませんため、開票結果の記録にとどめ、候補詩集から外させて頂くことを理事会で承認し、第一次選考委員会でも合意されました。

日本の詩祭2022・あいさつ・贈呈式(前半)

「詩投稿 第28期」入選作品紹介Topページに入選作を順次公開します。

遠野一彦「冬の日」

 

  冬の日

冬の朝の 天のうえでは
針さきのような 無数の鈴が ひしめいて
りんりんと
りんりんと
鳴っているのです

けっして人間には聞こえない
ものすごい響きで 世界をふるわせて
鳴っているのです

なにしろ むこうは
いつでも白夜なのですから
終わりというものが
ないのです

その空のした
冬の午後ともなれば
われわれの棲む地上では
ひだまりに
時の翼が影をおとして
いき倒れた 人々に
やさしい終末をなげかけています

けれど あの空は
われわれのものではないのです

落ちていく夕陽の勾配に
射られたものたちは
もう 帰るところがありません

ついに
夕陽が地上を焼きつくしても
あの空は
遠いむこうで 鳴り響いているのです

ああ 冬の夜
わたしのなかの暗闇に
焦げた 一本のはだかの木が
あの空にむかって
立っている 

齋藤こもれび「旅立ちの音」

 

あなたは言いましたね
「私かあの人を選んで」
選べませんでした
選んだらどちらも傷つけてしまう気がしたのです

選択させるという暴力
それを全身に浴びたわたしは
どうしようもなく、うずくまってしまいました

「まだここから離れられないから、先に行っていてよ
あとから追いかけるから」

そうやってわたしはあなたを、間接的に拒絶しました
傷づいたでしょうか?
わたしがあなたをすぐ追いかけなかったこと、
怒っていますか?

妹たちを連れて出ていくあなたを、ぼうっと見ていました
扉が閉まれば元の家族に戻れないことを予感しつつ
玄関の扉がガチャリと音を立てるのを聞いていました
旅立ちの音は、祝福の音だと思っていたのに

あれ以来、玄関が音を立てるたび
父を捨て、わたしに選ばれなかったあなたの旅立ちを思い出します
お母さん、
なぜわたしに選ばせたのですか
わたしのこころはまだ、うずくまったままです

 

林黄色「ぼうや」

きみの寝息を確認してから、またイヤホンをつけた
新曲の歌詞の意味なんてまったく捉え切れないまま
音階とリズムがみみを、あたまを流れ落ちてゆく
胸の辺りが冬の夜の冷えた空気を孕んでふくらんで
きみの中で温められて、暗闇にやさしく吐き出されたのを確認して
ようやくわたしもすこし微睡んできた

本能的な危機意識のまま床についてもう何年だ
きみはもう足が19センチ、体重は20キロなった
きみは革新的な絵を描く芸術家であり
毎日欠かさず最新ゲームに勤しむ勉強家であり
見たこともない動きで皆を虜にするダンサーであり
斬新ななぞなぞを開発する発明家でもある

そんなきみに言わせればわたしは 忘れんぼうで心配な人間 らしく
どうやら今度の遠足の持ち物と集合時間を記したらしい
ひらがなもカタカナもごちゃ混ぜのメモを唐突に渡された

そしてきみは可愛げなく、わたしとは結婚しないと言ってのける
理由は怒ると怖いからだと言ってのける
そのくせ猫のようにすり寄って、褒めると嬉しそうにわらって
いまだってわたしの横でふくふくねむっている
朝になったらいつものように
早起きのきみは、寝ぼすけなわたしの頭を撫でて抱きしめてくれるだろう

午前四時
なんだか知らないがここ数年、毎日一度は目が覚める
右のイヤホンは未だ新曲をリピート再生し続けているが
片方は床に転がって、また今日もシリコン部分がなくなっている
きみのおでこを撫でる、汗はかいてない
布団をかけ直す、こうも毎朝、寒くないのだろうか?
相変わらず歌詞を捉える気すらなく
右のイヤホンを取ってそのへんに置いた

ゆったりと長い呼吸音
わたしの眠気を誘う、やわらかで、いとおしい音
ゆる、ゆる、ゆら、とまた思考速度が落ちてゆく
「キャハハハハハ!」
突然の笑い声に飛び起きる
たのしそうに笑った顔、閉じたままのまぶた
まだなにか言ってるが聞き取れず
わたしはまた、すこし冷えた右のイヤホンに手を伸ばした

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◆会員名一覧 あ―お最終更新日 2022/12/26
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